Taru Lab - Letters from the Cellar

小樽のクラフトワインショップ樽ラボが世界に発信!

Letter #05 クアルトモロ・ディ・サルデーニャの醸造家、ピエロ・チェッラとの1日

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こんにちは。

イタリア人と日本人の夫婦で、小樽で小さなクラフトワインショップを営んでいます。 

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北海道は桜の開花まではもう少し!

小樽はまだ冷んやりする日もありますが、少し春らしい気持ちの良い日が続いています。

今日は黒いおしゃれなボトルと土着品種のユニークなワイン造りで人気のあるクアルトモロ・ディ・サルデーニャのオーナーで醸造家のピエロさんのお話です。

 

サルデーニャワインがお好きな方は、もしかするとピエロ・チェッラの名をすでにご存知かもしれませんね。ピエロは同じくワイン醸造家の父を持ち、若い時はスーパートスカンの父とも呼ばれ、イタリアの偉大なワイン醸造家の一人とも言われるジャコモ・タキスがサルデーニャでワイン造りをしていた時に、長年弟子としてジャコモの片腕となって働きながらワイン造りを学びました。そして今ではサルデーニャ中のワインの産地や、大小さまざまなワイナリーでコンサルタントとしても大活躍しながら2007年に自分のワイナリーも立ち上げました。サルデーニャでワインを飲んでいると、彼の手がけたワインにあちこちで遭遇しますが、何よりもピエロのワインへの情熱と行動力が、周りを引き込むすごいパワーと影響力で溢れているのに驚かされます。

サルデーニャ島のクアルトモロ・ディ・サルデーニャ

クアルトモロ・ディ・サルデーニャワイナリーのディスプレイ

クアルトモロ・ディ・サルデーニャのワイナリー

ピエロは奥さんのルッチャーナ、醸造学を学んでいる息子さんのアルベルト、娘さんのヴィオランテを中心にした、家族経営のとても素敵なワイナリーがクアルトモロ・ディ・サルデーニャです。彼らのスタイリッシュでミニマルでセンス抜群のワインボトルも目を引くのですが、そこにはクアルトモロ・ディ・サルデーニャサルデーニャ島の土着品種グレープへの深い愛情と、数々の実験、卓越したブドウ栽培とワイン醸造の技、そして無限の情熱が隠されています。

ピエロと奥さんのルッチャーナ

ピエロと奥さんのルッチャーナとサルデーニャのワイン試飲会場で

 サルデーニャ、その大陸、そして無限のテロワール(風土)」

これはピエロがクアルトモロ・ディ・サルデーニャをビデオクリップで紹介するときに使った言葉です。この短い言葉の中にクアルトモロ・ディ・サルデーニャがすべてを表現されていると言っても過言ではありません。

クアルトモロ・ディ・サルデーニャのワイナリーの中

2018年。クアルトモロ・ディ・サルデーニャと私たちの出会いのエピソードはちょっとドキドキするものでした。初めて彼らのワイナリーを訪ねた日、私たちは日本へ彼らのワインの輸入をさせてもらえたらという期待を胸に、ピエロとルチャーナに会いに行きました。ワイナリーを訪問すると、二人が日本のワイン専門雑誌の最新号を見せてくれたのですが、なんとその中にはクアルトモロ・ディ・サルデーニャのワインが美しい写真と共に紹介されてるではないですか!それを見た瞬間、私たちは、遅かったか!クアルトモロ・ディ・サルデーニャのワインは既に他の人の手で日本に発売済みだと思い、私たちは一挙にがっかりしてしまいました。気を取り直して、よくよく話を聞いてみると、実はサルデーニャワイン特集の中で参考商品として扱われただけで、まだ日本へは輸出はされいないとのこと。私たちの気持ちはもうジェットコースターのようにアップダウン(笑)、さっきまでがっかりしていたのに、次の瞬間には嬉しさで弾け飛び、勢いづいた私たちは、クアルトモロ・ディ・サルデーニャのワインを私たちに日本に輸入させてもらえないかと思い切って尋ねてみたのでした!すると、それはいいね!とすぐに良い返事をしてもらえ、話はトントン拍子で進んだのでした。その後、無事私たちの手でクアルトモロ・ディ・サルデーニャのワインを日本に輸入する運びとなり、今に至っています。

Winartサルデーニャワイン特集

クアルトモロ・ディ・サルデーニャが掲載されたワイン雑誌

余談ですが、雑誌Winart92号は私たちの手元にも今もあるのですが、このサルデーニャのワイン特集は国際的ジャーナリストでもありワイン評論家でもある宮嶋勲氏の丁寧な解説と豊かな表現力で、美しい写真と共にサルデーニャのワインが大きく取り上げられた素晴らしい内容のもので、サルデーニャワインを学ぶのには絶好の読み物です。

クアルトモロ・ディ・サルデーニャの日本入荷ワイン

今ではクアルトモロ・ディ・サルデーニャのワインが日本に入荷しています

そのドキドキする対面からしばらく経ち、日本へもクアルトモロのワインが入荷されるようになってから、再びサルデーニャを訪れた私たちは、2018年9月、マノロの地元、オリスターノから数キロのカブラスという町にあるピエロの仕事場の一つでピエロと1日を一緒に過ごさせてもらうという大変貴重な体験をさせてもらうことになりました。

コンピュータに向かうピエロ・チェッラ

仕事場のピエロ

ワインについて真剣に話すピエロ

ワインについて真剣に話すピエロ

その日は、ピエロがコンサルタントをしている大きなワイナリーを見学させてもらい、ピエロの働いている現場に同行させてもらいながら、今ではイタリアを代表するワインメーカーとして忙しく仕事をする彼のブドウ栽培からワイン造りについての詳しい話や、サルデーニャのワイン産業への視点や意見、挑戦、その可能性などについて等々、多岐に渡ったまるで大学の講義のような内容をくまなく聞かせてもらうことができました。話をしている間、忙しいピエロの携帯は鳴り続け、次々と真剣に指示を出している様子で、一時たりともワインのことを考えない時間はないのじゃないかと驚かされながら、その日は私たちにとってはサルデーニャのワイン造りを大きく知る素晴らしい学びの機会となったこととはいうまでもありません。

 

スパークリングワインQとZ

ヴェメンティーノグレープを使った2種類のスパークリングワインQとZ

サルデーニャの土壌

ブドウ畑の土壌の違い

クアルトモロ・ディ・サルデーニャでは、彼らのワインを通してサルデーニャの土着ブドウ品種の数々だけではなく、ブドウやワイン造りの技法の違いによる表現の豊かさを日本に紹介してくれています。最近ではサルデーニャでも栽培量の非常に少ないアルヴィジョナードゥやその他にもムリステッル、セミダノという品種のワインが到着したのですが、その味わいからは、サルデーニャの珍しい土着品種の特徴を最大限に感じられるだけではなく、香り、味、複雑さなどがバランスよく表現されたピエロ・チェッラ独特の品のある仕上がりです。

サルデーニャの土着品種グレープを使ったクアルトモロのワイン

ピエロのワイナリーは実験的なワイナリーでもあり、日々、数々のサルデーニャの土着品種のブドウでのワイン造りが繰り広げられています。それはただ闇雲にユニークなワインを作るという偶然の発見ではなく、ブドウ品種やワイン醸造の技術を知り尽くしたピエロにしかできない、最高のワインを生み出すためのたゆまない努力なのだというのが、彼の仕事場で1日を通じてひしひしと感じることができました。

Q

サルデーニャのおつまみとQ

ピエロのサルデーニャ土着品種グレープとワイン技法への取り組みについては、また機会を見つけてお伝えしますね。

では、今日はこの辺で。

どうぞお元気にお過ごしください。

 

Quartomoro di Sardegnaの情報はこちらからどうぞ。

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Letters from the Cellar #5 

A day with Piero Cella.

For those of you who are even slightly familiar with Sardinian wines, Piero Cella needs no introduction. Disciple of Giacomo Tachis, the father of Super Tuscans and widely considered the greatest Italian enologist ever, Piero has work for many years as a consultant across different wine regions of Sardinia. His passion and drive are contagious.

With his wife Luciana, his son Alberto and daughter Violante they are the heart and soul of a beautiful family owned winery called Quartomoro di Sardegna in Arborea. Behind their very stylish bottles there is a story of love for indigenous Sardinian grape varieties, experimentation and superb level of know-how.

"Sardinia: a continent, infinite terroirs": with this line, that truly captures his view on a land that he loves, Piero once perfectly introduced Quartomoro di Sardegna in a short promotional clip.

In October 2019 we had the distinct pleasure to spend a day with Piero at one of its workplaces in Cabras, a few kilometers away from Manolo’s hometown, Oristano.
It was a very fortunate experience to listen to his story as a winemaker and its view on Sardinia’s wine industry, its challenges and its great potential. We left the meeting with Piero feeling very enriched and ispired. 

Through our collaboration, Quartomoro di Sardegna gave us the opportunity to introduce to Japan a number of wines made with Sardinia's indigenous grape varieties. 

Thank you Piero and thank you Quartomoro di Sardegna.

Yours sincerely,

Taru Lab

 

 

 

Letter #04 コロスと呼ばれるカンニュラリの地。アルバ&スパネッダとの出会い

Alba e Spanedda アルバ&スパネッダのバスチャーノとトニーノ

こんにちは。

イタリア人と日本人の夫婦で、小樽で小さなクラフトワインショップを営んでいます。 

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やっと雪が溶けだした小樽。だんだん明るくなる日差しに、春の気配を感じてワクワクしています。

今年もまだサルデーニャに行く予定は立てれずにいましたが、サルデーニャを思い浮かべて、ちょっと懐かしい話しでも。

Taru Labでもすっかりおなじみの2人組のワイン生産者、Alba&Spanedda(アルバ&スパネッダ)。彼らはサルデーニャ島の北部で昔からコロスと呼ばれるカンニュラリグレープの土地で、素晴らしいカンニュラリワインを作っています。今日は、そのアルバ&スパネッダとTaru Labの心温まる初めての出会いのエピソードをお伝えしようと思います。

 

思い起こせば3年前。

とある1月のまだ寒い日、私たちはサルデーニャ・オリスターのマノロの実家の暖炉でマヤレットと呼ばれる子豚をローストを作って(サルデーニャでは冬の間は、どの家庭でも暖炉で肉のローストを楽しみます。)家族と一緒に、大好きな「Dedola デドラ」というカンニュラリワインでランチを楽しんでいました。このワインは、行きつけの近所のワインショップ、Spirit One(スピリットワン)のオーナーの息子、ジョルジョという大親友から勧められたのがきっかけで、それ以来私たちのお気に入りになっていました。この頃、すでに日本へワイン輸入を真剣に考えていた私たちは、サルデーニャテロワールが表現されたこの素晴らしい味わいのワインを飲みながら、このカンニュラリワインも日本に輸入できたらいいなぁと思い始めていました。

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Dedolaと子豚のロースト(マヤレット)

ランチの後は、サルデーニャ滞在中のいつもの習慣で、Asakoはその日の美味しかったとワインと料理の写真とコメントをFacebookに載せました。すると、次の日、トニーノ・スパネッダという見知らぬ紳士から友達申請がありました。最初は誰だろうと?思ったものの、すぐにそれが前日みんなで美味しく飲んだワインの生産者の一人だということがわかり、なんだかとても嬉しくなって、すぐに近所のワインショップのジョルジョに報告しに行きました。すると、親切なジョルジョがワイン生産者のもう一人、セバスチャーノ・アルバを紹介してくれることになったのです!

近々、日本に移住することは決めていましたが、その時はまだオーストラリアに住んでいた私たちのサルデーニャでの休暇は残すところあと5日。ジョルジョに紹介してもらって、急いでセバスチャーノに電話をしてみると、これまた親切に、すぐに面会の日程を組んでくれることになったのです。とはいうものの、その日はオーストラリアに旅立つ前日!

Alba e Spanedda Ossi オッシ村の中心地

小高い丘の上にある、オッシ村の中心地

翌朝6時が私たちのフライト予定で、ちょっと厳しいスケジュールかとも思ったのですが、どうしてもアルバ&スパネッダのセバスチャーノに会いたいという一心と、その日は奇しくもアルバ&スパネッダの新店舗のエノテカ(ワインショップ)の開店日だというので、とにかくスーツケースに慌てて荷物を詰め込み、旅の準備を終わらせて、土砂降りの雨の中、滞在最終日にオッシ村に車を走らせまたのでした。

Alba e Spanedda トニーノ&バスチャーノ

ワインのメダルを手にしたトニーノとセバスチャーノ

到着するとセバスチャーノはじめ、Facebookですでに友達になっていたトニーノやその他のメンバーとも感激の対面。彼らの大歓迎とともに、まるで初めて会ったとは思えないような和気藹々とした雰囲気の中、オッシ村のチーズやサラミのシャルキュトリの盛り合わせをご馳走になりながら、アルバ&スパネッダの素晴らしいヴェルメンティーノ、カンニュラリ、カンノナウを次々と試飲させてもらい、楽しく素晴らしい夜を過ごしました。あまりのワインの美味しさと、親切で素敵なセバスチャーノとトニーノとの出会いに、思わずこのワインを日本に輸入したいという思いを伝えてみると、初めて出会ったにもかかわらず、答えはイエス!そして、その日の出会いをきっかけに、かけがえのない彼らとのサルデーニャと日本を結ぶ、素晴らしい友情とコラボレーションが始まったのでした!

Alba e Spanedda アルバ&スパネッダチーム

アルバ&スパネッダのチームメンバー

Ossi サルデーニャ島オッシ村のパナダスという焼き菓子

パナダスという焼き菓子

この出会い以来、私たちがサルデーニャに里帰り滞在中には、必ずオッシ村で数日間滞在するのが恒例となり、その度に、アルバ&スパネッダのみんなと、美味しい料理とワインを囲んで長い食事の時間を楽しんだり、収穫祭に招かれたり、時にはお菓子作りを習ったり、音楽や土地の文化を楽しんだり、、、いつもまるで家族の一員のように迎えてもらいながら、サルデーニャらしい特別な時間を過ごさせてもらっています。

Saardegna Ossi オッシ村の美しい眺め

オッシ村の美しい風景

Alba e Spanedda アルバ&スパネッダのカンニュラリブドウ畑1

Alba e Spanedda アルバ&スパネッダのカンニュラリブドウ畑2

アルバ&スパネッダのブドウ畑とカンニュラリグレー

それにしても、コロナ禍の中、1年以上サルデーニャに里帰りを果たせずにいますが、そろそろサルーデーニャ本格的に恋しくなってきています。次回オッシ村を訪れて、アルバ&スパネッダの美しいブドウ畑を散策するのはいつになるのかと、夢に見ている今日この頃です。

Alba e Spanedda アルバ&スパネッダのカンニュラリブドウ畑3

アルバ&スパネッダのカンニュラリグレープの畑で。トニーノとマノロ 

Alba e Spanedda 収穫祭バスチャーノと一緒に

セバスチャーノと一緒に

今夜はアルバ&スパネッダのカンニュラリワインを楽しんで、オッシ村の思い出に浸ろうかと思います。

彼らとのたくさんの楽しい行事の数々はまた別の機会に書きたいと思います。

では、今日はこの辺で。

どうぞお元気にお過ごしください。

 

Alba&Spaneddaの素晴らしいカンニュラリワインの情報はこちらからどうぞ。

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Letters from the Cellar #4 

Coros, the land of Cagnulari. The day we met Alba e Spanedda.

It was a cold day of January in Oristano three years ago, and we were sitting in front of the fireplace roasting some pork meat. We were having a glass of Dedola, a Cagnulari recommended by our friend Giorgio from our local wine shop. One that we always enjoyed. It was a
 wine that, at the stage of planning Taru Lab, we thought it would be a great terroir-expressive one to introduce to Japan.

As Asako’s custom during our trips to Sardinia, she took heaps of photos of the lunch and posted some of them on Facebook. The following day she received a friend request from a gentleman by the name of Tonino Spanedda. It didn’t take us too long to figure out that he was one of the producer of the wine we drank the day before. Fairly excited by the happening we visited our trusted wine shop again, and Giorgio kindly offered to put us in touch with Mr Bastiano Alba, the other half of Alba e Spanedda.

While plans to move to Japan were underway, at that time we still lived in Australia and had about five days of holidays left in Sardinia.

So on the Tuesday we called Bastiano, who kindly organized a meeting with us for the Saturday, which coincidentally was the day of the inauguration of their new wine shop in Ossi, in Sardinia's Coros region.
We were heading back to Australia at 6:00am on the following morning, but we were so keen to go that we packed up all our baggage beforehand and drove to Ossi in the evening despite the heavy rain.

We had a memorable time with them tasting their Cagnulari, Vermentino and Cannonau over the unmissable board of carefully selected local cheese and charcuterie.

On that day we started what would have become a beautiful friendship and a solid collaboration between Sardinia and Japan.
Since then, every time we go back to Sardinia, we spend a few days in Ossi over long and heartwarming meals, wines, cooking classes, local culture and music. Too many epic moments to write about in just few lines!

They are so welcoming and they always make us feeling like part of their family.
We haven’t had the chance to travel back to Sardinia for over a year and we are  missing it so badly! We are so looking forward to the next time we are visiting Ossi and walking across the vineyards, sharing a glass of Cagnulari with the team at Alba e Spanedda. 

Well, after this, it's time to open a bottle of Dedola. Cheers!

Yours sincerely,

Taru Lab

 

 

Letter #03 ファミリア・オロとヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ(1)

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こんにちは。

イタリア人と日本人の夫婦で、小樽で小さなクラフトワインショップを営んでいます。 

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いかがお過ごしですか?

小樽はやっと少し雪が溶けてきました。

先日お店で本州産のふきのとうを見かけて、春が少しずつ近づいて来ているのかなぁとちょっぴり嬉しくなりました。

 

この季節は、サルデーニャ島のオリスターノ市のサルティリアという馬のお祭りの時期。

オリスターノはマノロの出身地なので、私たちも過去にこのカーニヴァルの時期合わせてサルデーニャに里帰りしたことがあり、貴重で楽しい数日を過ごした思い出があります。

今年は残念ながらコロナでお祭りは中止だそう(涙)。

 

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でも、今日はせっかくなので、サルティリアのお祭りにちなんだ話題を。

このお祭りに欠かせないものはいろいろあるのですが、その中でもこの地方の歴史と伝統のあるとても珍しいワイン、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ、通称ヴェルナッチャは必須アイテム。

 

 お祭りのある初日は自分たちの支持する馬のいるオーナー宅で朝からこのヴェルナッチャを飲みながら馬小屋で馬を眺めたり、お祭りの最中は馬のパフォーマンスを眺めながら街にの出店でヴェルナッチャを飲みながらみんなで集まって楽しく過ごします。とにかく毎日毎日ヴェルナッチャです(笑)。

 

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写真はサルティリアの様子、ファミリア・オロのお店、ワインメーカーのダビデ

ヴェルナッチャはこの地方の土着品種、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノというブドウで作られ、その独特な製法と長い歴史からワイン学の宝とも呼ばれる、とても魅力ある面白いワインです。オリスターノの遺跡からは3000年前のブドウの種の化石も発掘され、その中にはヴェルナッチャ・ディ・オリスターノも含まれていたそうです!

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琥珀色で少しアーモンドのような熟成したまろやかな香りと独特な味わいがあるので、初めて飲む方は少しびっくりされるかもしれません。とはいえ、作り方や味わいがちょっとシェリーにも似てるとも言われるこのヴェルナッチャには、一度好きになるとはまってしまうような不思議な魅力があります。

 
サルデーニャ島のオリスターノ界隈では昔は日常的に飲まれてきたこのヴェルナッチャワインですが、実は経済成長による消費者の嗜好の変化や市場のグローバル化、その他数々の時代の流れによる不運が重なり、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノが栽培されているぶどう畑はずいぶん減少し、現在では絶滅の危機にまで陥ってしまっているそうです。

 

私たちTaru Labでは、今では希少になりつつある、サルデーニャ独特のこの個性あるワインを、少しでも日本でも知っていただけたらと、ヴェルナッチャワインの数少ない生産者のリーダー的存在でもあるFamiglia Orro(ファミリア・オロ)から、手間暇かけて昔ながらの製法で作られたヴェルナッチャワインを仕入れさせてもらっています。

ノロは大好きなこのヴェルナッチャが日本で飲めるので、本人が一番喜んでいる気もしますが(笑)。

 

ファミリア・オロのオーナーで醸造家のダヴィデは、この絶滅の危機にあるブドウ品種とこのワインに向き合うために、何年も大学でヴェルナッチャの研究を続けていました。その後、お父さんが持っていたブドウ畑を引き継ぎ、家族の反対を押し切って大学の先生を辞め、今では自らブドウ造りから手がけた、究極のヴェルナッチャワインの醸造にに情熱と人生をかけています。

 

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ファミリア・オロのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの樽と熟成の様子

彼のブドウ畑には自然環境にもこだわったサステナブルファーミングを導入し、ワインの醸造には彼の長い研究から生み出したダヴィデ独自の酵母を使うなど、とことんこだわって作られた彼のヴェルナッチャは本当に美味しく味わい深いものです。

 

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ファミリア・オロのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのブドウ畑

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ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのブドウ

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ファミリア・オロのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ2011 、手彫りのボトルに入った、栗樽の中でフリールで8年間熟成した素晴らしい味わい!


この他にもファミリア・オロがヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの保護と普及に携わるエントラ・イン・ファミリアの活動や地元に立ち上げたエコミュージアムなどのお話はまた次回にでも!

このサルデーニャの個性的なワインに少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです!

 

では、今日はこの辺で。

春までもう少し。

お元気にお過ごしください。

 

さらに詳しいヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの情報を英語版の後に記載しました。ご興味ある方はぜひご覧ください。

 

ファミリア・オロのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ はこちらからお求めいただけます。

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Letters from the Cellar #3

 

February/March is usually a period of the year when we enjoy traveling back to Oristano in Sardinia for Sa Sartiglia. It’s an ancient equestrian event that takes place every year over carnival celebrations.

 

One of our first stops is always Famiglia Orro’s stand, set strategically in the city center, to have a sip of Vernaccia di Oristano, greet Davide Orro and his family and start celebrations.

 

This year Sa Sartiglia, originally scheduled for last week, was sadly cancelled. Of course we could not travel due to COVID, but we still had some Vernaccia di Oristano here in Otaru to keep our spirits high.

 

It may be its place of origin, Manolo’s hometown area, the almost three thousand years of history, or the unique winemaking technique that make Vernaccia di Oristano so precious to us.

 

Famiglia Orro in Tramatza is not only a wine producer and educational farm but also a custodian of this ancient grape variety.

A wine that for too long hasn’t achieved the status that it deserves as a gem of world’s oenology.

 

Tradition, innovation, research and hard work in the vineyard resulted in outstanding quality in its 2011 vintage, after 8 years in chestnut barrels under the the magic of flor yeast.

 

Flor yeast my love...Cheers to all.

Yours sincerely,

Taru Lab

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 ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ ワインの詳しい情報です。
【ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ概要】
ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ Denominazione di Origine Controllata (DOC)
ヴェルナッチャディオリスターノというサルデーニャ島で育つ、イタリアの白ブドウの品種を使いオリスターノ県の規定の地域で 作られます。このヴェルナッチャディオリスターノDOCは1971年にサルデーニャで一番最初にDOC認定を受けたワインです。
ヴェルナッチャディオリスターノはシェリーにも似たワインとも言われ、 ワインの表面にフロールと呼ばれる産膜酵母を発生させて樽の中で熟成させて造ります。
ヴェルナッチャはフェニキア人によって紀元前800年くらいにタロスという港からサルデーニャに伝わったと言われてきましたが、最新の研究ではオリスターノ県近くのヌラジック時代の遺跡で発見されたヴェルナッチャとマルバジアのブドウの種の分析により、サルデーニャには紀元前1200年 からブドウ畑が存在していたと解明されました。このような歴史的背景からも、ヴェルナッチャグレープはサルデーニャの中でも最も重要なブドウ品種の一種と言われています。
製造工程
9月の中旬から10月の初日までにブドウの収穫が手作業によって行われ、ブドウの収穫された翌3月に製造されたワインは栗や樫の樽に移し替えられ、樽の中で少し隙間を開けて成熟されます。これはフロールが成長するのに必要な条件で、最低でも2年間樽の中で熟成させる必要があります。アルコール発酵の最後に出来上がったフロールと呼ばれる産膜酵母が、表面に浮かんでフィルム上に形成され、このフロールはアルコール発酵に必要なだけでなく、その他の作用でヴェルナッチャに必要な特徴のある香りや味わいを形成していきます。また、ワインの作られるキャンティーナの中は風通しが良く、外気との温度が伝わるように設計されていて、これもヴェルナッチャ作りには欠かせない要素です。ヴェルナッチャディオリスターノはシェリーのように酒精強化は使わず、樽の中で熟成するときに自然に水分が蒸発していくことでアルコール濃度が高まっていくのも特徴です。
ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノDOCの条件
  • 100%ヴェルナッチャグレープを使用
  • 材料のブドウはDOCで定められた17の町や村などの決められた地域で栽培されたものに限る
  • ブドウ作り、ワイン作り、成熟期間全てが定められたDOC規定の地域で行われる必要がありその地域は平坦な地域でティルソ川の河口に位置している
  • 熟成に使われる樽は樫か栗から作られたものを使用し、2年以上熟成したものである
ヴェルナッチャディオリスターノの特徴
地中海性気候の環境で育ったグレープはニュートラルな香りで、最終的な味わいや香りは製造工程から決定されます。色はゴールドやアンバー色、アロマはアーモンドの花など深くリッチで後味はビターアーモンドのような味わいです。