Taru Lab - Letters from the Cellar

小樽のクラフトワインショップ樽ラボが世界に発信!

Letter #14 サルデーニャ島の人気品種、ヴェルメンティーノの魅力!

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こんにちは。

イタリア人と日本人の夫婦で、小樽で小さなクラフトワインショップを営んでいます。 

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今年はあちこちで大雪の被害がありましたが、長い冬もやっと終わり、そろそろ春の兆しですね。

ここ小樽も雪との格闘が続いた一冬でしたが、その反面、凍った湖でワカサギ釣りをしたり、氷祭りなどを見に行ったり、ウインターライフも楽しむことができたのは北海道ならではでした。まだ雪は残っていますが、少しずつ日差しが明るく暖かくなってくるこの季節は、気持ちが明るくワクワクしてきます。

 

ところで、イタリアワインというと、どんなワインやブドウ品種を思い浮かべますか?
サルデーニャ島にもたくさん島の土着ブドウ品種を使った、様々なタイプのワインがありますが、サルデーニャのワインで思い浮かぶのは、やはり赤はカンノナウ、白はヴェルメンティーノなのではないでしょうか。ちなみに、この2種類のカンノナウとヴェルメンティーノは島でももっとも飲まれているワインです。


今回はその中でも、サルデーニャを代表する人気のイタリアの白ブドウ品種、ヴェルメンティーノに焦点を当て、ブドウ品種の紹介と特徴、土壌の違いやワインの醸造法での表情の違い、ワインの紹介も交えながら、ヴェルメンティーノの魅力を探ってみたいと思います。

 

ヴェルメンティーノはどんなブドウ?

ヴェルメンティーノはセミアロマティック品種の白ブドウで、150年前にコルシカ経由でイベリア半島からサルデーニャ島に紹介されたと言われています。1960年代から特にDOCG指定のあるガッルーラでの生産料が安定して伸びたことで、サルデーニャでは最も重要な白ブドウ品種となりました。

常に高い生産量のあるこのブドウ品種は、しっかりした味わいがありますが、特に遅目の収穫ではさらに濃縮した味わいとなります。

主に地中海の海岸沿いで栽培され、その中でもサルディーニャ島はヴェルメンティーノの産地としてよく知られていまが、イタリアでは、トスカーナ州リグーリア州、フランスではコルシカ島プロヴァンス地方、その他では少量ながら、南アフリカや南オーストラリアなどでも栽培されています。

 

ヴェルメンティーノ のブドウ, vermentino grape

ヴェルメンティーノ のブドウ

ヴェルメンティーノワインの特徴

ヴェルメンティーノから作られるワインは、もちろん気候や土壌などの条件によってもその出来上がりは変わりますが、色合いは美しいレモンカラーにレモンやライムなどの柑橘類の香り、白い花や桃などの華やかなアロマ、ほんのりアーモンドのようなニュアンスがあるのが特徴です。味わいはフレッシュで爽やか、バランスの取れた酸味が魅力的で、土壌によるミネラル感の違いや、ブドウ栽培の場所やヴィンテージの天候の違い、作り手のワイン造りの手法などでも表情が変わる大変面白いブドウ品種です。

 

サルデーニャで唯一のDOCG、ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラDOCG

ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラDOCGはイタリアでも高く評価されている人気の白ワインの一つ。サルデーニャ島では唯一のDOCG*で、サルデーニャ島北東部のガッルーラ地方はヴェルメンティーノワインの生産地として世界的にも知られています。
ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラDOCG、ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ・スペリオーレDOCGがあり、しっかりしたアルコールを持ち、力強さと高い香り、この土地特有の花崗岩土壌からのミネラルと海からの潮風の影響とも言われる軽い塩見を感じる潮風のような香りと爽やかな味わいが特徴の美しいワインです。

 

テヌテ・アイーニ・ヴィーニの畑,tenute aini vini

ガッルーラ地方のテヌテ・アイーニ・ヴィーニの畑
*DOCGとは
Denominazione di Origine Controllata e Garantita(デノミナツィオーネ・ディ・オリージネ・コントロッラータ・エ・ガランティータ)の略称で、イタリアにおける、食料品(主にワイン)に対する原産地認定(地理的表示)のひとつ。地域別の土着品種と伝統的な栽培・醸造法を守る為にワインに与えられる格付けです

ヴェルメンティーノは他にも島の各地のブドウ産地で栽培され、島の全土で色々なヴェルメンティーノワインが作られています。

畑の土壌やワイン造りの製法で様々な表情を持つヴェルメンティー

ブドウは土壌の違いによって味わいや香りに色々な影響を受けます。このヴェルメンティーノグレープも土壌の違いで表情を変える興味深い品種ですが、ほかにも収穫時期を変えることで酸味やアルコールの強弱を調整したり、ワインを作る際の醸造法によっても、いろいろなスタイルや味わいに仕上がるので、醸造家やワイナリーによっても様々な味わいのワインが楽しむことができます。

以前は、ヴェルメンティーノワインと言うと、ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラDOCGを代表する、アルコール度数が高めの、トロピカルでしっかりした味わいのものが主流でしたが、最近では少し軽めで繊細な味わい、エレガントスタイルのワインも増えてきています。またスパークリングワインや高品質の熟成させたヴェルメンティーノなども登場するようになり、以前のようにヴェルメンティーノはフレッシュで早いうちに飲まなくてはいけないという思い込みも少しずつ変わってきています。

今回はこのサルデーニャ島を代表する白ワインヴェルメンティーノに焦点を当て、いろいろな土壌や、ワイン醸造のスタイルの違いなど、またそれに関連した興味深いヴェルメンティーノワインをご紹介したいと思います。

 

土壌の違いを楽しむヴェルメンティーノワイン

花崗岩土壌と潮風】

Incontru Vermentino di Gallura Superiore DOCG 2019

インコントゥル ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ スペリオール 2019

生産者:Tenute Aini Vini  (テヌテ・アイーニ・ヴィーニ)

こちらは、サルデーニャワインの王道とも言えるヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラDOCGらしいワインです。スペリオールという少しアルコールがしっかりしたこのワインは、サルデーニャ島のヴェルメンティーノらしさが全開で、花崗岩土壌からの心地よいミネラル感や潮風の影響からと言われるほんのり塩見が特徴的で、柑橘系や花のような香りや味わいもしっかりあります。まるでサルデーニャ島の地中海の海が広がるような爽やかさが魅力です。

 

tenute Aini Vini,テヌテ・アイーニ・ヴィーニの畑

tenute Aini Vini,テヌテ・アイーニ・ヴィーニワイナリー

テヌテ・アイーニ・ヴィーニの畑とワイナリー

インコントゥル,Tenute Aini Vini,Incontru,Vermentino di Gallura Superiore DOCG

インコントゥルヴェルメンティーノ が保存されるステンレスタンク

 

石灰石と粘土の混合土壌】

Lentore Bianco Isola dei Nuraghi IGT 2020

レントーレ 2020

生産者:Alba & Spanedda  (アルバ&スパネッダ)

サルデーニャ島の北、サッサリ県オッシ村にあるアルバ&スパネッダのヴェルメンティーノのブドウ畑は、コロスと呼ばれるこの土地の石灰石土壌の粘土質の土壌です。ガッルーラよりは塩見や潮風のようなニュアンスは控えめで、柔らかなミネラル感に白い花の上品な香りが漂い、アーモンドのようなヴェルメンティーノらしいニュアンスとしっかりした味わいがあります。

 

Alba& Spanedda,アルバスパネッダ,オッシ村

Alba& Spanedda,Lentore,アルバ&スパネッダ,レントーレ

石灰質のオッシ村の土壌とレントーレ

アルバスパネッダの生産者,Alba&Spanedda

アルバスパネッダの生産者トニーノとセバスチャーノと

 

黒曜岩土壌

Orriu Veòr Vermentino di Sardegna 2019 

オッリウ ヴェオール ヴェルメンティーノ 2019

生産者:Quartomoro di Sardegna   (クアルトモロ・ディ・サルデーニャ )

サルデーニャ島西部、マルビウの黒曜岩土壌で栽培されたヴェルメンティーノには、鉱物からの少し硬めのミネラルがあり、このブドウを使って造られたオッリウヴェオールヴェルメンティーノ ワインは他の地方のヴェルメンティーノワインに比べて、アルコールも低めで、ボディーも柔らかに仕上がっています。軽やかで繊細なタッチ、白い花の香りが漂う美しく優雅な味わいです。

 

クアルトモロ・ディ・サルデーニャ, ブドウ畑,quartomoro di sardegna

クアルトモロ・ディ・サルデーニャ ヴェルメンティーノのブドウ畑

 

スパークリングヴェルメンティーノの魅力

ヴェルメンティーノ の爽やかで酸味のある味わいはスパークリングワインにもぴったりのブドウ品種です。スパークリングワインには色々な製法がありますが、ここでは全く作り方や仕上がりの違う2種類の興味深いワインをご紹介します。

 

【メトドクラシコシャンパン製法) 】

Q Metodo Classico Brut NV

Q (クー) メトド・クラシコ ブリュット NV 

生産者:Quartomoro di Sardegna   (クアルトモロ・ディ・サルデーニャ )

メトドクラシコシャンパン製法)のヴェルメンティーノスパークリングワインはサルデーニャでも大変珍しいものですが、最近人気が出てきているスタイルです。

”Q(クー)”はクアルトモロ・ディ・サルデーニャマルビウのブドウ畑、黒曜岩土壌で栽培されたヴェルメンティーノグレープを少し早めに収穫して作ったワインを、瓶内2次発酵、2年間のイーストコンタクトで作った、本格的なメトドクラシコシャンパン製法)のヴェルメンティーノスパークリングワインです。フレッシュで心地よいミネラル感にほんのりと塩味のニュアンスがあり、瓶内熟成によるリッチで奥深いヴェルメンティーノの優雅な香りと味わいがバランス良く楽しめます。

メトドクラシコの全行程をサルデーニャ島内で全て行っているワイナリーは少ない中、ここクアルトモロ・ディ・サルデーニャでは手間のかかる、ルミアージュ(瓶動)やデゴルジュマン(瓶内二次発酵によって生じた澱を取り除く作業)なども全て自分たちで手作業で行っています。

 

メトドクラシコ・スパークリング,Q, Quartomoro di Sardegna, クアルトモロ・ディ・サルデーニャ,

メトドクラシコ・スパークリングQと黒曜石

クアルトモロ・ディ・サルデーニャ,醸造家, Piero Cella, ピエロ・チェッラ

醸造家のピエロ・チェッラ

クアルトモロ・ディ・サルデーニャワイナリー,quartomoro di Sardegna, Q, Metodo Classico,メトドクラシコ

クアルトモロ・ディ・サルデーニャワイナリーのQ

 

酵母を瓶内に残したままのナチュラル製法 】

Z (ゼッタ)フリザンテ・スイ・リエーヴィティNV

Z Frizzante sui Lieviti NV

生産者:Quartomoro di Sardegna   (クアルトモロ・ディ・サルデーニャ )

クアルトモロ・ディ・サルデーニャでは2つのワインが1つになったと表現されるこのスパークリングワイン。ヴェルメンティーノで作られたドライワインに翌年のフレッシュなグレープマスト(ワインを作る前のプレスされたグレープジュース)を加えて瓶内発酵させ、酵母をそのまま瓶内に残した自然な製法が特徴のユニークで新しいスタイルのヴェルメンティーノスパークリングワインです。 ヴェルメンティーノのフレッシュでドライな香りや味わいに、この品種の特徴でもある潮風、白い花や黄色の花のようなフローラルの香り、柑橘系やリンゴなどの果実の爽やかさ、スパイスや瓶内に残った酵母からのニュアンスが楽しめる生き生きとした味わいが特徴です。瓶に残っている酵母の混ぜ具合でも味わいの変化が体験できるのも面白いワインです。

 

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濁りを楽しむスパークリング Z(ゼッタ)

 

熟成タイプのヴェルメンティー

ヴェルメンティーノはステンレスタンクを用いて製造された爽やかなスタイルのワインとして飲まれるのが主流ですが、高品質なヴェルメンティーノワインは、樽のニュアンスをきかせたものや、ステンレスタンクや瓶内で時間をかけて熟成した深みのある味わいもとても魅力的です。

 

【瓶内熟成のリッチなテクスチュアと味わい 】

Òrriu un Anno Dopo Vermentino di Sardegna DOC 2018

オッリウ ウン・アンノ・ドーポ ヴェルメンティーノ 2018

生産者:Quartomoro di Sardegna   (クアルトモロ・ディ・サルデーニャ )

ステンレスタンクと瓶内で1年以上熟成する手法で作られたヴェルメンティーノワインです。ヴェルメンティーノのブドウの特徴である、果実や潮風のようなフレッシュなアロマに瓶内熟成による豊かな香りと深みのある味わいが加わり、興味深いワインに仕上がっています。地中海のハーブ、フレッシュな花の香り、ミネラル感やソフトな味わいの中に、このブドウ特有のアーモンドのような味わいと共にしっかりしたボディーがあり、少しとろみのあるリッチなテクスチュアが口の中で広がります。瓶内熟成タイプのこのワインからは、フレッシュなタイプのヴェルメンティーノワインとはまた違った、驚きや可能性を感じることができます。

 

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瓶内熟成のオッリウ・ウンアンノ・ドーポヴェルメンティー

 

【樽の味わいがバランスよく表現されたヴェルメンティーノ】

Memorie di Vite VRM Vermentino di Sardegna DOC 2016

メモリエ・ディ・ヴィーテ VRM (ヴェルメンティーノ) 2016

生産者:Quartomoro di Sardegna   (クアルトモロ・ディ・サルデーニャ )

サルデーニャ西部の古木から収穫されたヴェルメンティーノグレープで作ったワインを24ヶ月間ステンレスタンクで熟成させたものに、一部樽で熟成したワインをブレンドして仕上げた、深みのある味わいと、ヴェルメンティーノの芳醇なミネラル感のバランスが素晴らしい、熟成感が楽しめるヴェルメンティーノワインです。味わいにはベルベットのように滑らかさと、軽い樽からの香りがなんともいえない、魅力ある香りと味わいの余韻が楽しめます。 セラーに寝かせながら数年間その熟成の変化を味わうのも興味深いヴェルメンティーノワインです。

 

クアルトモロ・ディ・サルデーニャワイン,黒曜石,Quartomoro di Sardegna

クアルトモロ・ディ・サルデーニャワインと黒曜石のディスプレー

クアルトモロ・ディ・サルデーニャワイナリー,"quartomoro di Sardegna

クアルトモロ・ディ・サルデーニャワイナリー内の樽

 

ヴェルメンティーノワインとフードペアリング

ヴェルメンティーノワインは土壌からのミネラルや、海からの軽い潮風のような香りがありものも多く、シーフード料理はもちろんお寿司などの日本料理と合わせるのにぴったりです。軽めのヴェルメンティーノ にはお刺身や会席料理などの繊細な日本食と合わせるとぴったりです。またボディーのしっかりしたヴェルメンティーノワインやスパークリングワインは前菜などの軽いお料理や、生ハムやチーズなどと合わせてもお楽しみいただけます。 熟成による少し重みのあるヴェルメンティーノは、バジルを使ったペストソースやクリーム系のパスタ料理、クリームなどを使ったソースを合わせたお魚料理や鶏肉などの軽い肉料理に合わせてもお楽しみいただけます。

 

様々な表情のある楽しいヴェルメンティーノの世界、いかがだったでしょうか?

ヴェルメンティーノワインは料理にも合わせやすく気軽に楽しめるのが魅力ですが、たまにはいつもと違う視点で表情の違うヴェルメンティーノをお楽しみいただけたら嬉しいです。タイプの違うヴェルメンティーノで味比べなどもなかなか興味深いのではないでしょうか? お好みのヴェルメンティーノを見つけて、様々なお料理とのペアリングもお楽しみください!

 

では、また。
季節の変わり目、お気をつけてお過ごしください。

 

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Letters from the Cellar #14

 

Arguably the most important white grape variety of Sardinia, Vermentino found its natural home in this charming island at the center of the Meditarranean sea.

Whether from the granite soils of Gallura, the limestone slopes of Coros or the obsidian-rich vineyards at the foothill of Monte Arci, among other areas, Vermentino grape can result in a wide range of wine styles, all different and likewise exiting.

Present in the overwhelming majority of the viticultural areas of Sardinia, it is harvested at different times based on the style to be achieved.
Discussing all there styles would be a very time consuming excercise. One we absolutely adore is the result of early harvest to retain acidity and crafted in elegant sparkling wine made with the traditional method. Q Metodo Classico from Quartomoro di Sardegna being a great example of this.

Its versatility in food pairing makes Vermentino a great companion to a wide range of seafood, white meat, and pasta dishes.
In Otaru, where we are based, it provides an unpaired option with seasonal fish and shellfish skillfully used by sushi chefs in their preparation of sashimi and nigiri.
As the season of spring mountain vegetable picking is also upon us, we'd better also keep some chilled Vermentino to pair with tempura.

Enjoy a glass of Vermentino and please stay safe during these challenging times.

Yours sincerely,

Taru Lab