Taru Lab - Letters from the Cellar

小樽のクラフトワインショップ樽ラボが世界に発信!

Letter #03 ファミリア・オロとヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ(1)

f:id:tarulab:20210222175641j:plain

こんにちは。

イタリア人と日本人の夫婦で、小樽で小さなクラフトワインショップを営んでいます。 

 Taru Lab Wine Shop  ←こちら

 

いかがお過ごしですか?

小樽はやっと少し雪が溶けてきました。

先日お店で本州産のふきのとうを見かけて、春が少しずつ近づいて来ているのかなぁとちょっぴり嬉しくなりました。

 

この季節は、サルデーニャ島のオリスターノ市のサルティリアという馬のお祭りの時期。

オリスターノはマノロの出身地なので、私たちも過去にこのカーニヴァルの時期合わせてサルデーニャに里帰りしたことがあり、貴重で楽しい数日を過ごした思い出があります。

今年は残念ながらコロナでお祭りは中止だそう(涙)。

 

f:id:tarulab:20210222122834j:plain

 

でも、今日はせっかくなので、サルティリアのお祭りにちなんだ話題を。

このお祭りに欠かせないものはいろいろあるのですが、その中でもこの地方の歴史と伝統のあるとても珍しいワイン、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ、通称ヴェルナッチャは必須アイテム。

 

 お祭りのある初日は自分たちの支持する馬のいるオーナー宅で朝からこのヴェルナッチャを飲みながら馬小屋で馬を眺めたり、お祭りの最中は馬のパフォーマンスを眺めながら街にの出店でヴェルナッチャを飲みながらみんなで集まって楽しく過ごします。とにかく毎日毎日ヴェルナッチャです(笑)。

 

f:id:tarulab:20210222123258j:plain

f:id:tarulab:20210222122845j:plain

f:id:tarulab:20210222122837j:plain
写真はサルティリアの様子、ファミリア・オロのお店、ワインメーカーのダビデ

ヴェルナッチャはこの地方の土着品種、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノというブドウで作られ、その独特な製法と長い歴史からワイン学の宝とも呼ばれる、とても魅力ある面白いワインです。オリスターノの遺跡からは3000年前のブドウの種の化石も発掘され、その中にはヴェルナッチャ・ディ・オリスターノも含まれていたそうです!

f:id:tarulab:20210222122829j:plain

琥珀色で少しアーモンドのような熟成したまろやかな香りと独特な味わいがあるので、初めて飲む方は少しびっくりされるかもしれません。とはいえ、作り方や味わいがちょっとシェリーにも似てるとも言われるこのヴェルナッチャには、一度好きになるとはまってしまうような不思議な魅力があります。

 
サルデーニャ島のオリスターノ界隈では昔は日常的に飲まれてきたこのヴェルナッチャワインですが、実は経済成長による消費者の嗜好の変化や市場のグローバル化、その他数々の時代の流れによる不運が重なり、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノが栽培されているぶどう畑はずいぶん減少し、現在では絶滅の危機にまで陥ってしまっているそうです。

 

私たちTaru Labでは、今では希少になりつつある、サルデーニャ独特のこの個性あるワインを、少しでも日本でも知っていただけたらと、ヴェルナッチャワインの数少ない生産者のリーダー的存在でもあるFamiglia Orro(ファミリア・オロ)から、手間暇かけて昔ながらの製法で作られたヴェルナッチャワインを仕入れさせてもらっています。

ノロは大好きなこのヴェルナッチャが日本で飲めるので、本人が一番喜んでいる気もしますが(笑)。

 

ファミリア・オロのオーナーで醸造家のダヴィデは、この絶滅の危機にあるブドウ品種とこのワインに向き合うために、何年も大学でヴェルナッチャの研究を続けていました。その後、お父さんが持っていたブドウ畑を引き継ぎ、家族の反対を押し切って大学の先生を辞め、今では自らブドウ造りから手がけた、究極のヴェルナッチャワインの醸造にに情熱と人生をかけています。

 

f:id:tarulab:20210222122816j:plain
f:id:tarulab:20210222122812j:plain
ファミリア・オロのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの樽と熟成の様子

彼のブドウ畑には自然環境にもこだわったサステナブルファーミングを導入し、ワインの醸造には彼の長い研究から生み出したダヴィデ独自の酵母を使うなど、とことんこだわって作られた彼のヴェルナッチャは本当に美味しく味わい深いものです。

 

f:id:tarulab:20210222122800j:plain
ファミリア・オロのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのブドウ畑

f:id:tarulab:20210222122803j:plain

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのブドウ

f:id:tarulab:20210222122820j:plain

ファミリア・オロのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ2011 、手彫りのボトルに入った、栗樽の中でフリールで8年間熟成した素晴らしい味わい!


この他にもファミリア・オロがヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの保護と普及に携わるエントラ・イン・ファミリアの活動や地元に立ち上げたエコミュージアムなどのお話はまた次回にでも!

このサルデーニャの個性的なワインに少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです!

 

では、今日はこの辺で。

春までもう少し。

お元気にお過ごしください。

 

さらに詳しいヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの情報を英語版の後に記載しました。ご興味ある方はぜひご覧ください。

 

ファミリア・オロのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ はこちらからお求めいただけます。

tarulab.co.jp

↓↓↓このブログランキングに参加しています。ヴェルナッチャが気になった方は応援お願いします!

にほんブログ村 酒ブログ ワインへ
にほんブログ村

↓↓↓こちらからも応援、よろしくお願いします!


ワインランキング

 

...

 

Letters from the Cellar #3

 

February/March is usually a period of the year when we enjoy traveling back to Oristano in Sardinia for Sa Sartiglia. It’s an ancient equestrian event that takes place every year over carnival celebrations.

 

One of our first stops is always Famiglia Orro’s stand, set strategically in the city center, to have a sip of Vernaccia di Oristano, greet Davide Orro and his family and start celebrations.

 

This year Sa Sartiglia, originally scheduled for last week, was sadly cancelled. Of course we could not travel due to COVID, but we still had some Vernaccia di Oristano here in Otaru to keep our spirits high.

 

It may be its place of origin, Manolo’s hometown area, the almost three thousand years of history, or the unique winemaking technique that make Vernaccia di Oristano so precious to us.

 

Famiglia Orro in Tramatza is not only a wine producer and educational farm but also a custodian of this ancient grape variety.

A wine that for too long hasn’t achieved the status that it deserves as a gem of world’s oenology.

 

Tradition, innovation, research and hard work in the vineyard resulted in outstanding quality in its 2011 vintage, after 8 years in chestnut barrels under the the magic of flor yeast.

 

Flor yeast my love...Cheers to all.

Yours sincerely,

Taru Lab

...

 ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ ワインの詳しい情報です。
【ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ概要】
ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ Denominazione di Origine Controllata (DOC)
ヴェルナッチャディオリスターノというサルデーニャ島で育つ、イタリアの白ブドウの品種を使いオリスターノ県の規定の地域で 作られます。このヴェルナッチャディオリスターノDOCは1971年にサルデーニャで一番最初にDOC認定を受けたワインです。
ヴェルナッチャディオリスターノはシェリーにも似たワインとも言われ、 ワインの表面にフロールと呼ばれる産膜酵母を発生させて樽の中で熟成させて造ります。
ヴェルナッチャはフェニキア人によって紀元前800年くらいにタロスという港からサルデーニャに伝わったと言われてきましたが、最新の研究ではオリスターノ県近くのヌラジック時代の遺跡で発見されたヴェルナッチャとマルバジアのブドウの種の分析により、サルデーニャには紀元前1200年 からブドウ畑が存在していたと解明されました。このような歴史的背景からも、ヴェルナッチャグレープはサルデーニャの中でも最も重要なブドウ品種の一種と言われています。
製造工程
9月の中旬から10月の初日までにブドウの収穫が手作業によって行われ、ブドウの収穫された翌3月に製造されたワインは栗や樫の樽に移し替えられ、樽の中で少し隙間を開けて成熟されます。これはフロールが成長するのに必要な条件で、最低でも2年間樽の中で熟成させる必要があります。アルコール発酵の最後に出来上がったフロールと呼ばれる産膜酵母が、表面に浮かんでフィルム上に形成され、このフロールはアルコール発酵に必要なだけでなく、その他の作用でヴェルナッチャに必要な特徴のある香りや味わいを形成していきます。また、ワインの作られるキャンティーナの中は風通しが良く、外気との温度が伝わるように設計されていて、これもヴェルナッチャ作りには欠かせない要素です。ヴェルナッチャディオリスターノはシェリーのように酒精強化は使わず、樽の中で熟成するときに自然に水分が蒸発していくことでアルコール濃度が高まっていくのも特徴です。
ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノDOCの条件
  • 100%ヴェルナッチャグレープを使用
  • 材料のブドウはDOCで定められた17の町や村などの決められた地域で栽培されたものに限る
  • ブドウ作り、ワイン作り、成熟期間全てが定められたDOC規定の地域で行われる必要がありその地域は平坦な地域でティルソ川の河口に位置している
  • 熟成に使われる樽は樫か栗から作られたものを使用し、2年以上熟成したものである
ヴェルナッチャディオリスターノの特徴
地中海性気候の環境で育ったグレープはニュートラルな香りで、最終的な味わいや香りは製造工程から決定されます。色はゴールドやアンバー色、アロマはアーモンドの花など深くリッチで後味はビターアーモンドのような味わいです。