Taru Lab - Letters from the Cellar

小樽のクラフトワインショップ樽ラボが世界に発信!

Letter #10 サルデーニャの秋を楽しむ

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こんにちは。

イタリア人と日本人の夫婦で、小樽で小さなクラフトワインショップを営んでいます。 

 Taru Lab Wine Shop  ←こちら

 

先日まで緑だった山の中に赤や黄色の葉っぱがちらほらと。北海道もいよいよ秋の到来です。新じゃがやキノコなど秋の味覚いっぱいのこの季節、美味しい旬の食材と一緒にワインもますます進みそうです。

 

秋というと、9月から10月に訪れるイタリア・サルデーニャ島は、夏と秋が折り混ざったようなとても良い気候、私たちが最も好きな季節です。

 

9月中は日差しも夏の名残で日差しも暖かく、海で海水浴や日光浴を楽しんだり、海辺に夏だけ開くキオスク(海の家のようなカフェやレストラン)もまだオープンしているので、夕日を眺めながら屋外で家族や友人とアペリティフや軽食を楽しんだり、まだまだ夏のバカンス気分も味わえます。

 

10月に入り少し空気がひんやりしてくると、ワイナリーではブドウの収穫も終わりに近づき、待ちに待った収穫の時期を迎えます。サルデーニャも実りの秋には、収穫祭やバルバージャ地方での村の文化祭があったりと、各地で楽しい催しが目白押し。秋の味覚とともにサルデーニャの伝統や文化を体験するのにはとても良いシーズンです。

今回は、私たちもこの時期に何度も訪れている、思い出深いサルデーニャの秋について。

 

アルバ&スバネッダの収穫祭

秋はワイナリーにとっては一年で最も待ち遠しい季節。良いブドウが育つようにと一年中惜しみない重労働を日々捧げ、自然災害がないことをいつも祈りながらやっと迎える秋。無事に育ったブドウの収穫を迎える気分は、さぞかし安堵と喜びに満ちたものに違いありません。そして、この素晴らしいブドウから、どんなおいしいワインが出来上がるかと想像するのは、生産者にとっては本当にわくわくする瞬間でしょう。

 

オッシ村の外れ、山の中の美しいぶどう畑の中にアルバ&スバネッダのワイナリーがあります。ここでは、毎年秋にはブドウの収穫の終了を祝って、家族やスタッフ友人知人が集まり、みんなで収穫のお祝いをします。

最近ではすっかり家族の一員のように過ごさせてもらっている私たちも、オリスターノから泊りがけでオッシにやってきました。

 

Alba& Spanedda アルバスパネッダのカンニュラリブドウ畑

アルバ&スパネッダ、カンニュラリのブドウ畑

 

おしゃべりをしながら楽しくパーティーの準備

この日は、朝からみんな大忙し。敷地の中にある小さな小屋のキッチンの中はオーブンや大きなガス台があり、すでにオーブンの中では美味しそうなパイが温められ、大きな鍋ではパスタ用のラグーソース(トマトのひき肉のソース)がグツグツと美味しそうに煮えています。

ちなみに、サルデーニャの家庭にはシンプルな小さな小屋が家の敷地内にある時があり、ここでは大勢集まった時にいっぺんに調理できるようにと、厨房になっていることが多いようです。

 

Alba&Spaneddaの収穫祭

収穫祭のランチはカラフルなテーブルセッティングで

アルバ&スパネッダのワイナリーには家族や親戚、友人たちが、早い時間から次から次へと訪ねて来て、今年のブドウの収穫やワインの出来を楽しそうに話しています。おしゃべりは、遠くに住む娘や息子の近況や、近所の噂話など話題は尽きません。

私たちも何度もアルバ&スパネッダのワイナリーを訪ねているので、すっかり顔なじみとなり、あらまぁ?元気だった?日本ではサルデーニャワインは人気なの?最近、隣町のサッサリにも寿司レストランができたわよ!などなど、日本に興味津々のみんなからは色々な質問も飛び交います。

 

ご馳走はサルデーニャ島の伝統料理マヤレット(豚の丸焼き)

外では男性陣が大きな石作りのオーブンの中で、サルデーニャの伝統的料理、お祝いには欠かせないマヤレット(豚の丸焼き)を、じっくりと直火でグリルしています。どの部署にも得意な人が配置されるらしく、その技を披露しながら、時には調理するかなどのコツなども伝授しながら、すでにワインやビールを片手に和気藹々と楽しく作業が進みます。

 

Taru Lab マノロ
Alba & Spaneddaの大鍋
厨房のマノロと大きなお鍋

中庭には何人も座れるように、長テーブルが何台も並べられ、ワイナリーのオーナー、セバスチャーノの奥さんミケーラが、きちっとかけられたテーブルクロスの上に、紙皿の色の配色やらカトラリーやグラスの並べ方などを女性陣に支持しています。

あっという間にカラフルなセッティングが出来上がって行く様子は、さすがパーティー上手なイタリア人!とつい感心してしまいます。すごい数のグラスやカトラリーにも、びっくりしている私に、昔はもっとたくさんの人が訪れたのよと、ミケーラやミケーラのお姉さんルッチャーナが二人の昔話を聞かせてくれるのも楽しい時間です。なんだか、親戚のうちで過ごしながら家族の昔話を聞かされているような、そんな暖かい気持ちになります。

 

サルデーニャのお菓子

たくさんのお菓子が棚に並ぶ光景

訪れた客人たちもそれぞれにお菓子や自慢の料理などを持ち寄り、棚にはどんどん美味しそうな食べ物が並びはじめ、気がついたら、中庭にはすでにたくさんの人が集まっています。

みんなで席に着くと、セバスチャーノが今年の収穫への感謝とともに、見守ってくれた家族や友人たちに労いの言葉をかけ、乾杯の音頭を取ります。そしてここからは長い長い楽しいランチの始まり!

どの手料理もそれぞれ美味しく、これは誰が作ったの?今年も美味しいね。わぁさすがね。へぇ、新しいお料理なの?レシピを教えてね!と、おしゃべり好きで食いしん坊のイタリア人は食事中もとっても賑やか。

 

イタリア料理、ナスのラザニア
アルバスパネッダのランチパーティー
持ち寄りの美味しいお料理の数々

アルバ&スパネッダのワインを飲みながら

食事と一緒に振る舞われるのはもちろんアルバ&スパネッダのワイン!

白ワインはヴェルメンティーノのレントーレ、赤ワインは彼らが大得意とするカンニュラリワイン。自慢のデドラも登場します!

 

イタリア、サルデーニャの伝統料理パナダス

イタリア、サルデーニャの伝パスタ料理ニョケッティサルディ

サルデーニャの伝統料理パナダスとバスタ料理ニョケッティ・サルディ

 

パナダスは可愛らしい形をしたサルデーニャのパイのような伝統料理。中はしっとりとしたお肉が入っていて、サクッとしたパイ生地との相性が絶妙でいつ食べてもとっても美味しい。

ルマケ(カタツムリ)をトマトで煮込んだお料理は、大鍋に入った大量のカタツムリにはびっくり!見た目は度も各(笑)、食べてみるとトマトの風味がなんとも言えず良い味わい!

 

サルデーニャの伝統料理ルマルケ

タツムリは見た目はびっくり、食べると美味しい!

そのほかにも、数え切れないほどのたくさんの手作りおつまみを楽しみ、その後はこれもサルデーニャの定番パスタ料理、ニョケッティ・サルディのサルシッチャ・ラグーパスタの登場。ついつい食べ過ぎてしまい、デザートもたべれるようにとパスタは少なめにと思っていると、他にも同じ考えの女性があちこちにいるのに気づく(笑)。

 

マヤレット仔豚の丸焼き

マヤレットにはカンニュラリワイン

サルデーニャのご馳走マヤレット

そろそろ、お腹も膨れてきた頃に、続いて美味しそうに焼きあがったメインのマヤレットや羊のグリルが振舞われます。サルデーニャのお肉には濃厚な味わいがあり、職人(?)の腕でカリッと焼きあがった皮の中にはジューシーな肉の旨味が閉じ込められていて、何度食べても本当に美味しい。

この炭火焼きの豚肉料理にはフルボディーの赤ワイン、カンニュラリのバランス良い酸味と山のベリーのフレッシュな香りのデドラがぴったり!

 

カンニュラリワイン・デドラ、赤ワインのフルボディー

お肉料理にはやっぱりカンニュラリワインのデドラ

 

長い食事の後は、やっとデザートまでこぎつく。美味しいケーキ屋さんのケーキや、手作りのテラミスやデザートが次々と出てきて、もうお腹いっぱいなはずなのに、つい少しずつ手を伸ばしてしまう。一体何種類くらいのデザートがあったのかというくらいのボリュームでした!

 

サルデーニャ島の伝統菓子の数々

サルデーニャ島の砂糖がけのお菓子

サルデーニャ島の伝統菓子

 

食後はエスプレッソを飲み、その後もそれぞれリキュールを飲んだり、男性たちはウイスキーやラムを飲みながら葉巻を楽しんだり、おしゃべりをしながら、まだまだ長いパーティーは続きます。

こんな風に、ブドウの収穫を祝いながら、手作りの美味しいものをみんなで分かち合い、のんびりとワインを楽しむのは、素朴だけど掛け替えのないひと時です。

気づいたら、外はもう夕暮れ。アルバスパネッダのバルコニーからはこんな綺麗な夕日が沈んでいきました。

 

アルバス&パネッダのブドウ畑と夕日

アルバス&パネッダのバルコニーから眺める夕日

 

ファミリア・オロの新しいブドウ畑とランチパーティー

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノとニエデラの収穫を無事終えたファミリア・オロのトラマッツァ村のワイナリーでも、家族と親しい友人が集まって収穫を祝うランチパーティーがあるとの連絡があり、私たちもこの身内の集まる大切なランチに招待してもらうことに。こんな風に家族の集まりに呼んでもらえるなんて、少しずつ生産者と私たちの絆が深まっているのかな、と嬉しくなる出来事でした。

 

ファミリア・オロの収穫祭のランチ

ファミリア・オロのテーブルセッティングは白と黄色でシンプルに

ランチの前に、ダヴィデの案内で近くの畑まで歩いて行き、ファミリア・オロの新しいブドウ畑を見せてもらう。土地を手に入れたから、新しく畑を拡張するんだと言っていたダヴィデは、つい最近までブドウの苗の植え付けや、ブドウを支える支柱を全て自分で整備していて、ものすごく忙しかったと言っていた。やっと終わったよ、と嬉しそうに畑を披露してくれ、そこには一つ一つ金属の支柱に支えられた、たくさんの数の小さなブドウの苗が広がっていました。新しい畑を目の前にして、その数の多さに、これは大変な仕事だったのだなと素人目にもびっくりさせられる。

 

サルデーニャのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの畑

ファミリア・オロのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの畑

ダヴィデの新しいブドウ畑

前に、ブログでも書いたように、歴史あるこのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのブドウ品種は、色々な理由から今では栽培が激減していて、絶滅するかもしれない危機に直面しています。ダビデは新しい車を買うくらいだったら、土地を買ってブドウ畑を増やしたいといつも言っていて、こうやって本当に実現していく行動力が本当に素晴らしい!こうやって、ダヴィデの努力と情熱を目の前にすると、もっともっとヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの栽培量が増えて、彼のワインがたくさんの人に飲んでもらえるといいなぁと願わずにいられません。

 

ワイナリーに戻ると、家族の多いオロ一家では、ダヴィデのお母さんがリーダーとなって、女性陣がおいしそうなサルデーニャのお料理を準備しています。テーブルの上にはもちろん、ファミリア・オロの畑で取れた、絶品オリーブのオイル漬けやアーティチョークのオイル漬けも、地元のチーズやサラミなども一緒に並んでいます。

 

ファミリア・オロのダビデ・オロ、乾杯の音頭

スパークリングワインを開けるダヴィ

 

ダヴィデが今年のブドウの収穫について、そして新しく拡張したぶどう畑の展望などについて話をし、みんなに感謝の言葉を伝えると、娘さんが生まれた年に記念でオーダーしたというスパークリングワインを開けてみんなで乾杯。美味しい前菜に始まり、ここでもニョケッティサルディのパスタ、そしてメインはマヤレットなどのお肉料理です。

残念ながらお料理の写真はあまりないのですが、この日のさらなる楽しいイベント、ランチの後のサルデーニャのパン作りをご紹介します。

 

サルデーニャの伝統パネヴィンタウ(装飾パン)

サルデーニャでは昔から宗教的な行事やお祝いに用いられるセレモニーパンという装飾パン「パネ・ピンタウ」作りが盛んです。

ファミリア・オロの家族や親戚一同はサルデーニャ島の伝統や文化への造詣も深く、芸術センスのあるファミリーメンバーがたくさんいます。その中でもダヴィデのお姉さんエスターはこの装飾パン作りの名人。ワイナリーには彼女の作った美しい装飾パンが飾られています。それを見て以来、習ってみたいと言っていたのを覚えてくれていたらしく、ランチの後に早速、パン作り教室を開催してくれました。

 

サルデーニャ島の伝統菓子パネピンタウ

サルデーニャの装飾パン作りの道具

参加者は数名。装飾用のいろいろな道具があるらしいのですが、メインは小さなハサミとナイフ、そしてパンの生地。ささっと手早く、いろいろなパターンを教えてくれ、基本の花や鳥のパターンやその応用など、それぞれにいろいろな意味があるという話をしながら、彼女の手元はちょきちょき、コロコロと忙しく、次々と可愛い形を生み出していきます。

 

パネピンタウの基本

パネピンタウの基本を教えてもらう

Taru Labの朝子のパネピンタウ作り

パーティーの後でほろ酔いながらも真剣に取り組む様子

 

パーティーの後でワインの酔いも回りつつ、先生の真似をしながら、しばし練習を繰り返す。だんだんにコツがつかめてきて、その後はちょっと不細工だけど小さな作品が出来上がりました。あとは低温のオーブンで焼くと完成だそう。

後日焼き上げたものを丁寧に箱に入れて渡してくれました。箱には日本語で装飾パンって書いてあったのにびっくり!これはダヴィデの妹、デザイナーのマウラ作。

もう少し時間をかけて、もっとたくさんの技や形なども教えてもらいながら、このパネピンタウの歴史や背景なども学んでみたいものだと思いました。

 

Taru Lab のパネピンタウ

焼きあがった自作のパネピンタウ

パネピンタウ、アップ

せっかくなのでアップも

サルデーニャ島での秋の行事や思い出は、実はこの他にもまだまだお伝えしたいことが盛りだくさん。

次回は山間のバルーバージャ地方での秋の文化祭についてもお伝えできればと思っています。

 

サルデーニャに思いを馳せながら、みなさんもこの季節をお楽しみくださいね。

 

 

 

Taru Lab のホームページから生産者の詳細などご覧ください。

tarulab.co.jp

 

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Letters from the Cellar #10

 

It must be the harvest, the sea breeze, the long warm days and the stunning sunsets over a glass of Vermentino that make us love September and October in Sardinia so much.
 
Our favorite time of the year often coincide with our visits back home.
 
Pattern is almost always the same. A couple of days of rest and some family time, followed by a few weeks of producers visits, catch-ups with friends, and discovery of new places. Many kilometers covered, from north to south from west to east, across the variety of landscapes that Sardina is blessed with.
 
This year, as it was for 2020, we still couldn’t travel.

Late summer and early autumn mean harvest!

This year we have been following it through photos taken by our friends and producers. Not exactly the same as walking across vineyards ready to be harvested but it definitely helps feel a bit closer to home.
 
Harvest is such a special moment, where all the hard work made in the vineyard throughout the year gets its rewards.

Personal relations with our producers are one of the key aspects of Taru Lab’s concept, which we are really proud of. Spending time with them help us understand their philosophy as well as of the challenges of their work.

Once harvest is out of the way, we love celebrating all together the end of it. Post-harvest lunches are always a binding moment, bringing family and friends together and sharing wine and traditional food. Some side activities always gave us the opportunity to learn something new, whether it is making ceremonial bread or traditional sweets, with the know-how kindly shared by our hosts.

Feeling privileged to be part of this.

The photos we took at Alba e Spanedda and Famiglia Orro gatherings speak for themselves. Looking forward to doing it again.

 
Yours sincerely,

Taru Lab