Taru Lab - Letters from the Cellar

小樽のクラフトワインショップ樽ラボが世界に発信!

Letter #08 ファミリア・オロとヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ(2)

Famiglia Orro Entra in Famiglia エントラ・イン・ファミリアメイン

こんにちは。

イタリア人と日本人の夫婦で、小樽で小さなクラフトワインショップを営んでいます。 

 Taru Lab Wine Shop  ←こちら

 

いかがお過ごしですか?

北海道はやっと少しずつ夏らしくなってきました。 木々のグリーンが鮮やかになり、花が色鮮やかに咲きほこり、一年の中でも鮮やかで気持ちの良い季節の到来です。小樽の海は日々青々と輝き始め、サルデーニャの海を思い浮かべています。

 

少し前に、このブログで、ファミリア・オロとヴェルナッチャ・ディ・オリスターノについて触れましたが、今回はその続編。

今日はサルデーニャ島、トラマッツァ村のワイナリー、ファミリア・オロのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのブドウとワインへの取り組み、そして"エントラ・イン・ファミリア"(ファミリーの一員になろう!)というプロジェクトについてご紹介します。

 

Famiglia Orro ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインの樽

ファミリア・オロのワイナリーの中、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインの樽

◆ファミリア・オロの名前を初めて聞いた方やヴェルナッチャディオリスターノって何?と思った方は、前回のブログも是非ご覧くださいね。(リンクはこちらから↓)

Letter #03 ファミリア・オロとヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ - Taru Lab - Letters from the Cellar

 

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの由来と生産地

サルデーニャ島西部、オリスターノ、ティルソ川の流れるこの土地は3000年もの長い間、世界でも最古のブドウ品種の一つと言われているヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの故郷としても知られています。

古代ローマ人はその土地のワインという意味で「ヴェルナクルム」と名付け、このラテン語の言葉がヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの語源となったと言われています。

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのブドウはオリスターノ市の近くの小さな地域、ティルソ川の下流の窪地を原産として栽培された時に限り、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノという名前でワインを生産することができます。

(ブドウとワインの名前が同じなので少し混乱しますね、笑)

 

独特な醸造法、フロール酵母を用いたイタリアワイン

そして、このヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインの特色の一つに、珍しいワイン醸造技術を使った独特な製法があります。フリーランジュース(ブドウをプレスしたワインを作る前のブドウジュース)を樽の中に少し隙間を残して注ぎ込み、野生酵母を入れて発酵させるのですが、その野生酵母の働きで産膜酵母(サッカロミセス・セレビシア・フロール)が生成され、このワインの個性的な特徴を生み出します。

 

もう少し詳しく説明すると、産膜酵母(フロール酵母 )が熟成しているワインの表面に形成され、アルコールを栄養にして香りの高いムルアイという複雑なアロマの分子を放出し、世界のワイン学の宝とも言われるヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインの特性が作り出されます。

なんとも興味深いワインです。

 

Famiglia Orro ヴェルナッチャフロール・産膜酵母生成1
Famiglia Orro ヴェルナッチャフロール産膜酵母生成2
Famiglia Orro ヴェルナッチャフロール産膜酵母生成3
ヴェルナッチャワインに形成された産膜酵母(サッカロミセス・セレビシア・フロール)

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノが日の目を浴びなかった理由

とはいえ、この素晴らしい品質と特徴のあるヴェルルナッチャ・ディ・オリスターノワイン、色々理由はあるのですが、なかなかイタリアでも国際的にもそれほど日の目を浴びずに現在まで至っているのが残念なところです。

 

その原因はいろいろあるのですが、ワイン造りではどこの産地でも直面する可能性となる、消費者の嗜好の変化や市場のグローバル化、そこに色々な事情と生産者やワイン業界がこのワインの重要性を伝えきれていなかったなどの要因があったようです。

 

その結果、以前はヴェルナッチャ・ディ・オリスターノが栽培されていた広大なぶどう畑は他のブドウ品種に植え替えられてしまったことで激減。生産者もすっかり減ってしまい、現在ではブドウ自体が絶滅の危機に直面するにまで至ってしまったのです。このままでは将来、次の世代にヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのブドウやワインを知ることや楽しむことができないのではないかとまで言われていて、そんなことにならないようになんとかこの危機を阻止したいものです。

 

Famiglia Orro Vernaccia di Oristano Davide Orro ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノブドウの収穫

ファミリア・オロのダヴィデとヴェルナッチャ・ディ・オリスターノグレープ

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノを再び現代に息を吹き返す

そんな中、ごく最近になって、数人の生産者たちによってこのワインの価値が少しずつ再び見直されるようになってきました。その中でも重要な役割を果たしている一人がファミリア・オロのオーナー、ダヴィデ・オロ。ダヴィデはヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの可能性と重要性を若い頃から大学で研究しながら、自らもブドウ栽培とワイン醸造を手がけ、希少なヴェルナッチャ・ディ・オリスターノを歴史や文化としての価値も含めてその存続に積極的に働きかけてきました。

 

その結果、いくつかの革新的なプロジェクトを通し、活動に加わるメンバーも徐々に増えてきており、今では他の生産者や地域の行政も巻き込みながら、少しずつですが、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノが再び現代に息を吹き返すようになりました。

 

Famiglia Orro エントラ・イン・ファミリアメンバープレート

エントラ・イン・ファミリアのメンバープレート

ファミリアオロのプロジェクト「エントラ・イン・ファミリア」について

その一つに「エントラ・イン・ファミリア」というプロジェクトがあります。このプロジェクトは、ファミリア・オロが率先し、リーダとなってヴェルナッチャ・ディ・オリスターノを絶滅の危機から救い、存続させるという目的で立ち上げられました。

直訳すると、「ファミリーの一員になろうという意味で、このプロジェクトに参加する誰もがヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのために、それぞれができることでその保護に小さな貢献をしていこうという働きかけです。ここ数年、Taru Labでも特に注目しているプロジェクトでもあります。


Taru LAbのオーナーマノロの出身地のワイン、私たち自身も大好きなサルデーニャ島の希少なヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワイン!

それを丁寧に作り続ける、ファミリア・オロの素晴らしい働きかけとコンセプトに感銘を受け、何か私たちのもできることはないだろうかと、 Taru Labでも2019年に日本からは初めて、エントラ・イン・ファミリアの正式メンバーに入れてもらいました。

 

famiglia Orro エントライン・ファミリアのメンバー登録1

famiglia Orro エントライン・ファミリアのメンバー登録2

エントラ・イン・ファミリアのメンバーの登録

「エントラ・イン・ファミリア」を通したTaru Labの役目

私たちが役目は、日本でもこの希少なヴェルナッチャ・ディ・オリスターノについて、皆さんに少しでも知っていただき、興味を持っていただくということだと思っています。

このヴェルナッチャ・ディ・オリスターノという長い伝統と歴史のある魅力的なブドウとワイン、サルデーニャ島の伝統と文化の残る素晴らしい土地への私たちの思いも込めて、良い形で皆さんにご紹介できないかと、日本でのこのエントラ・イン・ファミリアプロジェクトアイディアを現在いろいろと構想しています。

とは言っても、ここ1年以上はコロナ禍に見舞われ、身動きのできない状況が続き、思ったように計画が進んでないのが残念なのですが、まずはできることからやっていきたいと思います。

 

ということで。

Taru Labでやっている、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのワインへの小さな取り組みについて、少し触れてみようと思います。

 

Famiglia Orro Vernaccia di Oristano ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ全ラインナップ

ファミリア・オロのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの全ラインナップ

ファミリア・オロのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのテースティングセット

まずは飲んでくれる人がいるということが、ワイン生産者にとっては何よりも大切なことだと思っています。

Taru Labではファミリア・オロのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインを各種日本に輸入し、 みなさんに紹介させていただいています。

ファミリア・オロには同じヴェルナッチャ・ディ・オリスターノグレープを使った色々な製法の違うヴィンテージのワインがありますが、現在Taru Labでは常時10種ほどのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインのラインナップを揃えています。

 

実店舗のある小樽のTaru Lab WineShop併設のワインカフェではヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワイン5種の飲み比べセットもご用意しています。

 

Famiglia Orro Vernaccia di Oristano ヴェルナッチャ・テースティングセット

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ テースティングセット

 

実はお店で使っているこの木製のテースティングセット、日本のみなさんに楽しんでもらえたらとファミリア・オロがわざわざ手作りしてくれたものです!

サルデーニャ島のお祭りで使うようなシンプルなグラスを用い、木製のパドル(ホルダー)にはワインの名前が焼印で示されています。

 

ワイン全5種に加え、他にもその時々のヴィンテージ違いなども体験できる、ものすごくレアな試飲セットをワイナリー特性のオリジナルのテースティングパドルで!

こんな色々なベルナッチャワイン を試飲できるのは日本ではここだけなのではと思います(笑)。

小樽にいらっしゃる機会に、ぜひ一度この美味しさを体験して見てくださいね!

 

この珍しいヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインについては新聞でもご紹介していただきました。

 

 

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ北海道新聞掲載

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの新聞記事

今回はちょっと専門的な話にもなりましたが、サルデーニャの個性的なワイン、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノとその背景に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。

 

またの機会に、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのワインの飲み方や、フードペアリング、サルデーニャ島のヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ・エコミュージアムなどについても触れてみたいと思います。

お楽しみに!

 

梅雨や暑い季節となりますが、どうぞみなさまご自愛ください。

では今日はこの辺で。

 

ファミリア・オロの情報や

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインのラインナップは

こちらをご覧ください。

tarulab.co.jp

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Letters from the Cellar #8

 

Valle del Tirso (River Tirso Valley), Sardinia: a land that for over three thousand years has been home to an ancient grape: Vernaccia di Oristano. The Romans named it “Vernaculum”, meaning “local wine”.

One of the key peculiarities is the rare winemaking technique used to produce it, resulting in its unique aroma characteristics. Traditionally the free-run juice is poured into small partly unfilled barrels. The action of indigenous yeasts, the Saccharomyces Cerevisiae Flor, is responsible for the unique profile of this wine. The Flor yeast forms a layer on the wine’s surface and, feeding of the alcohol, casts its magic. It generates a complex aroma, hardly mistaken and so representative of a land, its history and tradition, characterizing this gem of world oenology.

A wine that for a number of reasons is yet to achieve the bright spot that it deserves in local and international markets, despite its quality and uniqueness.
Unfavorable circumstances, including globalization of markets and change in consumers’ taste, along with poor communication on its unique qualities and history, have resulted over the years in a strong decrease of the vineyard area planted with Vernaccia di Oristano. It has been risking extinction, almost denying future generations the possibility of getting to know and treasure it.

Only in recent years it has slowly been rediscovered and valued by a very small number of producers. One of them, that has certainly played a key role and has never stopped believing in its potential, is Famiglia Orro. Through a network and a number of initiatives involving other producers, local government and the broader community in the area, Davide Orro and its family are helping drive the return to prominence of Vernaccia di Oristano. It is still a long way, though!

One of the most noteworthy activities led by Famiglia Orro with the aim to keep Vernaccia di Oristano alive and away from extinction is named “Entra in Famiglia”, loosely translated as “Join the Family”. Anyone can join and give their small contribution with the aim to the safeguard, protect and promote Vernaccia di Oristano.
At Taru Lab we did our bit and joined this wonderful initiative of Famiglia Orro in 2019, with the aim to help Vernaccia di Oristano’s promotion in Japan.
With a bit of time at hand over the last few months, due to this seemingly endless pandemic, we have put our thinking hat on and have planned different ways to broaden Vernaccia di Oristano’s Family in Japan, through our passion for this grape and the land in which is grown. More to news to come in the upcoming months.

Flor yeast my love...

Yours sincerely,

Taru Lab