Taru Lab - Letters from the Cellar

小樽のクラフトワインショップ樽ラボが世界に発信!

Letter #08 ファミリア・オロとヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ(2)

Famiglia Orro Entra in Famiglia エントラ・イン・ファミリアメイン

こんにちは。

イタリア人と日本人の夫婦で、小樽で小さなクラフトワインショップを営んでいます。 

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いかがお過ごしですか?

北海道はやっと少しずつ夏らしくなってきました。 木々のグリーンが鮮やかになり、花が色鮮やかに咲きほこり、一年の中でも鮮やかで気持ちの良い季節の到来です。小樽の海は日々青々と輝き始め、サルデーニャの海を思い浮かべています。

 

少し前に、このブログで、ファミリア・オロとヴェルナッチャ・ディ・オリスターノについて触れましたが、今回はその続編。

今日はサルデーニャ島、トラマッツァ村のワイナリー、ファミリア・オロのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのブドウとワインへの取り組み、そして"エントラ・イン・ファミリア"(ファミリーの一員になろう!)というプロジェクトについてご紹介します。

 

Famiglia Orro ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインの樽

ファミリア・オロのワイナリーの中、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインの樽

◆ファミリア・オロの名前を初めて聞いた方やヴェルナッチャディオリスターノって何?と思った方は、前回のブログも是非ご覧くださいね。(リンクはこちらから↓)

Letter #03 ファミリア・オロとヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ - Taru Lab - Letters from the Cellar

 

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの由来と生産地

サルデーニャ島西部、オリスターノ、ティルソ川の流れるこの土地は3000年もの長い間、世界でも最古のブドウ品種の一つと言われているヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの故郷としても知られています。

古代ローマ人はその土地のワインという意味で「ヴェルナクルム」と名付け、このラテン語の言葉がヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの語源となったと言われています。

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのブドウはオリスターノ市の近くの小さな地域、ティルソ川の下流の窪地を原産として栽培された時に限り、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノという名前でワインを生産することができます。

(ブドウとワインの名前が同じなので少し混乱しますね、笑)

 

独特な醸造法、フロール酵母を用いたイタリアワイン

そして、このヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインの特色の一つに、珍しいワイン醸造技術を使った独特な製法があります。フリーランジュース(ブドウをプレスしたワインを作る前のブドウジュース)を樽の中に少し隙間を残して注ぎ込み、野生酵母を入れて発酵させるのですが、その野生酵母の働きで産膜酵母(サッカロミセス・セレビシア・フロール)が生成され、このワインの個性的な特徴を生み出します。

 

もう少し詳しく説明すると、産膜酵母(フロール酵母 )が熟成しているワインの表面に形成され、アルコールを栄養にして香りの高いムルアイという複雑なアロマの分子を放出し、世界のワイン学の宝とも言われるヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインの特性が作り出されます。

なんとも興味深いワインです。

 

Famiglia Orro ヴェルナッチャフロール・産膜酵母生成1
Famiglia Orro ヴェルナッチャフロール産膜酵母生成2
Famiglia Orro ヴェルナッチャフロール産膜酵母生成3
ヴェルナッチャワインに形成された産膜酵母(サッカロミセス・セレビシア・フロール)

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノが日の目を浴びなかった理由

とはいえ、この素晴らしい品質と特徴のあるヴェルルナッチャ・ディ・オリスターノワイン、色々理由はあるのですが、なかなかイタリアでも国際的にもそれほど日の目を浴びずに現在まで至っているのが残念なところです。

 

その原因はいろいろあるのですが、ワイン造りではどこの産地でも直面する可能性となる、消費者の嗜好の変化や市場のグローバル化、そこに色々な事情と生産者やワイン業界がこのワインの重要性を伝えきれていなかったなどの要因があったようです。

 

その結果、以前はヴェルナッチャ・ディ・オリスターノが栽培されていた広大なぶどう畑は他のブドウ品種に植え替えられてしまったことで激減。生産者もすっかり減ってしまい、現在ではブドウ自体が絶滅の危機に直面するにまで至ってしまったのです。このままでは将来、次の世代にヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのブドウやワインを知ることや楽しむことができないのではないかとまで言われていて、そんなことにならないようになんとかこの危機を阻止したいものです。

 

Famiglia Orro Vernaccia di Oristano Davide Orro ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノブドウの収穫

ファミリア・オロのダヴィデとヴェルナッチャ・ディ・オリスターノグレープ

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノを再び現代に息を吹き返す

そんな中、ごく最近になって、数人の生産者たちによってこのワインの価値が少しずつ再び見直されるようになってきました。その中でも重要な役割を果たしている一人がファミリア・オロのオーナー、ダヴィデ・オロ。ダヴィデはヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの可能性と重要性を若い頃から大学で研究しながら、自らもブドウ栽培とワイン醸造を手がけ、希少なヴェルナッチャ・ディ・オリスターノを歴史や文化としての価値も含めてその存続に積極的に働きかけてきました。

 

その結果、いくつかの革新的なプロジェクトを通し、活動に加わるメンバーも徐々に増えてきており、今では他の生産者や地域の行政も巻き込みながら、少しずつですが、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノが再び現代に息を吹き返すようになりました。

 

Famiglia Orro エントラ・イン・ファミリアメンバープレート

エントラ・イン・ファミリアのメンバープレート

ファミリアオロのプロジェクト「エントラ・イン・ファミリア」について

その一つに「エントラ・イン・ファミリア」というプロジェクトがあります。このプロジェクトは、ファミリア・オロが率先し、リーダとなってヴェルナッチャ・ディ・オリスターノを絶滅の危機から救い、存続させるという目的で立ち上げられました。

直訳すると、「ファミリーの一員になろうという意味で、このプロジェクトに参加する誰もがヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのために、それぞれができることでその保護に小さな貢献をしていこうという働きかけです。ここ数年、Taru Labでも特に注目しているプロジェクトでもあります。


Taru LAbのオーナーマノロの出身地のワイン、私たち自身も大好きなサルデーニャ島の希少なヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワイン!

それを丁寧に作り続ける、ファミリア・オロの素晴らしい働きかけとコンセプトに感銘を受け、何か私たちのもできることはないだろうかと、 Taru Labでも2019年に日本からは初めて、エントラ・イン・ファミリアの正式メンバーに入れてもらいました。

 

famiglia Orro エントライン・ファミリアのメンバー登録1

famiglia Orro エントライン・ファミリアのメンバー登録2

エントラ・イン・ファミリアのメンバーの登録

「エントラ・イン・ファミリア」を通したTaru Labの役目

私たちが役目は、日本でもこの希少なヴェルナッチャ・ディ・オリスターノについて、皆さんに少しでも知っていただき、興味を持っていただくということだと思っています。

このヴェルナッチャ・ディ・オリスターノという長い伝統と歴史のある魅力的なブドウとワイン、サルデーニャ島の伝統と文化の残る素晴らしい土地への私たちの思いも込めて、良い形で皆さんにご紹介できないかと、日本でのこのエントラ・イン・ファミリアプロジェクトアイディアを現在いろいろと構想しています。

とは言っても、ここ1年以上はコロナ禍に見舞われ、身動きのできない状況が続き、思ったように計画が進んでないのが残念なのですが、まずはできることからやっていきたいと思います。

 

ということで。

Taru Labでやっている、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのワインへの小さな取り組みについて、少し触れてみようと思います。

 

Famiglia Orro Vernaccia di Oristano ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ全ラインナップ

ファミリア・オロのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの全ラインナップ

ファミリア・オロのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのテースティングセット

まずは飲んでくれる人がいるということが、ワイン生産者にとっては何よりも大切なことだと思っています。

Taru Labではファミリア・オロのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインを各種日本に輸入し、 みなさんに紹介させていただいています。

ファミリア・オロには同じヴェルナッチャ・ディ・オリスターノグレープを使った色々な製法の違うヴィンテージのワインがありますが、現在Taru Labでは常時10種ほどのヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインのラインナップを揃えています。

 

実店舗のある小樽のTaru Lab WineShop併設のワインカフェではヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワイン5種の飲み比べセットもご用意しています。

 

Famiglia Orro Vernaccia di Oristano ヴェルナッチャ・テースティングセット

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ テースティングセット

 

実はお店で使っているこの木製のテースティングセット、日本のみなさんに楽しんでもらえたらとファミリア・オロがわざわざ手作りしてくれたものです!

サルデーニャ島のお祭りで使うようなシンプルなグラスを用い、木製のパドル(ホルダー)にはワインの名前が焼印で示されています。

 

ワイン全5種に加え、他にもその時々のヴィンテージ違いなども体験できる、ものすごくレアな試飲セットをワイナリー特性のオリジナルのテースティングパドルで!

こんな色々なベルナッチャワイン を試飲できるのは日本ではここだけなのではと思います(笑)。

小樽にいらっしゃる機会に、ぜひ一度この美味しさを体験して見てくださいね!

 

この珍しいヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインについては新聞でもご紹介していただきました。

 

 

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ北海道新聞掲載

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノの新聞記事

今回はちょっと専門的な話にもなりましたが、サルデーニャの個性的なワイン、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノとその背景に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。

 

またの機会に、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのワインの飲み方や、フードペアリング、サルデーニャ島のヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ・エコミュージアムなどについても触れてみたいと思います。

お楽しみに!

 

梅雨や暑い季節となりますが、どうぞみなさまご自愛ください。

では今日はこの辺で。

 

ファミリア・オロの情報や

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノワインのラインナップは

こちらをご覧ください。

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Letters from the Cellar #8

 

Valle del Tirso (River Tirso Valley), Sardinia: a land that for over three thousand years has been home to an ancient grape: Vernaccia di Oristano. The Romans named it “Vernaculum”, meaning “local wine”.

One of the key peculiarities is the rare winemaking technique used to produce it, resulting in its unique aroma characteristics. Traditionally the free-run juice is poured into small partly unfilled barrels. The action of indigenous yeasts, the Saccharomyces Cerevisiae Flor, is responsible for the unique profile of this wine. The Flor yeast forms a layer on the wine’s surface and, feeding of the alcohol, casts its magic. It generates a complex aroma, hardly mistaken and so representative of a land, its history and tradition, characterizing this gem of world oenology.

A wine that for a number of reasons is yet to achieve the bright spot that it deserves in local and international markets, despite its quality and uniqueness.
Unfavorable circumstances, including globalization of markets and change in consumers’ taste, along with poor communication on its unique qualities and history, have resulted over the years in a strong decrease of the vineyard area planted with Vernaccia di Oristano. It has been risking extinction, almost denying future generations the possibility of getting to know and treasure it.

Only in recent years it has slowly been rediscovered and valued by a very small number of producers. One of them, that has certainly played a key role and has never stopped believing in its potential, is Famiglia Orro. Through a network and a number of initiatives involving other producers, local government and the broader community in the area, Davide Orro and its family are helping drive the return to prominence of Vernaccia di Oristano. It is still a long way, though!

One of the most noteworthy activities led by Famiglia Orro with the aim to keep Vernaccia di Oristano alive and away from extinction is named “Entra in Famiglia”, loosely translated as “Join the Family”. Anyone can join and give their small contribution with the aim to the safeguard, protect and promote Vernaccia di Oristano.
At Taru Lab we did our bit and joined this wonderful initiative of Famiglia Orro in 2019, with the aim to help Vernaccia di Oristano’s promotion in Japan.
With a bit of time at hand over the last few months, due to this seemingly endless pandemic, we have put our thinking hat on and have planned different ways to broaden Vernaccia di Oristano’s Family in Japan, through our passion for this grape and the land in which is grown. More to news to come in the upcoming months.

Flor yeast my love...

Yours sincerely,

Taru Lab

 

Letter #07 職人気質の村、ドルガーリ

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こんにちは。

イタリア人と日本人の夫婦で、小樽で小さなクラフトワインショップを営んでいます。 

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今年もあっという間に6月ですね。

そろそろ梅雨に突入。ジメジメしたこの季節は、とくにサルデーニャ島のカラッとした太陽や青い海が恋しくなってきます。

サルデーニャ島の美しい風景を思い浮かべていたら、サルデーニャの東側に位置する、ドルガーリ村を思い出し、今日はこの村でのエピソードをお伝えしたいと思いたちました。

ドルガーリ村の様子

ドルガーリ村の様子

ドルガーリ村は、恵まれた美しい自然環境に囲まれているだけでなく、カンノナウワインやオリーブオイルの産地でも有名で、美味しいチーズや肉の加工品もあり、たくさんの工芸家やアーティストも住んでいて、村全体がアルチザン=職人気質に溢れている、サルデーニャの中でもとても魅力的な地域です。

美しい自然に囲まれたドルガーリ

美しい自然に囲まれたドルガーリ

このドルガーリ村は樽ラボの二人が10年以上前に旅行で訪ねて以来、第二の故郷のように心から親しみを感じている場所なのですが、最近ではこの村の中心的存在でもある二つの協同組合、オレアレア・ドルガレーゼ(オリーブ協同組合)とカンティーナ・ドルガーリ(ワイン協同組合)とのコラボレーションも実現し、ますます深い結びつきが生まれています。

 

オレアレア・ドルガレーゼは、小さなオリーブ生産者たちが集まって作ったオリーブオイルの協同組合で、丁寧に育てられたこの土地の土着品種オリーブ、ボザナ種から香り高いフレッシュな最高品質のエクストラバージンオリーブオイルを作っています。

オレアレア・ドルガレーゼ オリーブ

オレアレア・ドルガレーゼのオリーブの実

カンティーナ・ドルガーリはサルデーニャワイン産業でも重要なワイナリーとして知られている、古くにぶどうの生産者たちが共同で立ち上げたワイン協同組合で、ここではカンノナウの土地とも呼ばれるドルガーリの最高品質のカンノナウグレープから素晴らしいワインを製造しています。

キャンティーナ・ドルガレーゼのワイナリー

キャンティーナ・ドルガレーゼのワイナリーの様子

でも、このドルガーリ村の素晴らしさは、オリーブオイルやカンノナウワインだけではなく、フレンドリーな人々と彼らの温かいおもてなしの心、地元の美味しい食材やそこから生まれる味わい深いドルガーリ産のハムやチーズ、素晴らしい工芸品、息を呑むような美しい風景の中にある山々や青い海などなど、、、数え切れない素敵なもので溢れています。

私たちにとって、ドルガーリ村はサルデーニャ島滞在中は必ず訪れる場所ですが、ここでは親しい友人と美味しいワインを飲みながらいつまでも続く食事会の楽しい時間はもちろん、訪れるたびにこの地の新しい発見があり、嬉しい驚きが待っています。

ここで出会った友人たちが、私たちの滞在をいつも貴重でかけがえのない時間にしてくれていることに間違いはないのですが、そのたくさんの友人の中でも、カンティーナ・ドルガーリのスタッフでソムリエでもあるドナテッラとその家族、B&Bを経営するドルガーリの伝説的存在でもあるジエットと彼の家族、陶芸家のロレンツォの存在なくしては、この思い出深いドルガーリの滞在はありえなかったと思います。
今回はそのドリガーリの友人たちを紹介したいと思います。

 

この友人たちの一人一人がどうやってTaru Labと繋がって、私たちがドルガーリとの深い絆を築き上げたのかは長い話なので割愛しますが、カンティーナ・ドルガーリで出会ったドナテッラが、日本へのサルデーニャワイン輸入のアイディアやきっかけを与えてくれ、そこからTaru Labが誕生したことはまぎれもない事実です。

ドナテッラ

カンティーナ・ドルガーリの顔とも言えるドナテッラ

この小さなインスピレーションを現実のものにするのには数年の歳月がかかり、その間に私たちは何度もサルデーニャを訪れました。今ではカンティーナ・ドルガーリと一緒にコラボレーションができることとなり、ドナテッラの信念と後押しのおかげで、カンティーナ・ドルガーリのサルデーニャを代表するトップ2の素晴らしいワインHortos (オルトス)と D53を日本に紹介できる事になったのは夢のようでもありとても嬉しく感慨深く感じています。

カンティーナ・ドルガーリD53

カンティーナの代表作D53

カンティーナでのワインテースティング

カンティーナでのワインテースティング

ドナテッラ家族とも仲の良いジエット。ジエットはニックネームでイタリア語で小さなおじさんという意味で本名はアントニオ。彼は村のレジェンド的存在で、楽しくって豪快な(笑)、親切で正義感に溢れた性格で、村の誰もが知っている有名人でもあり、いつもたくさんの友達に囲まれている人気者です。ジエットはドルガーリのことならなんでも知っていているといった風で、サルデーニャのことや、ドルガーリ地方の歴史や文化とその多様性など、私たちにもいろいろなことを教えてくれます。
普段の生活の中では、周りにある美しいものや自然が当たり前に感じてしまい、感謝の気持ちもつい忘れがちですが、例えば、山陰に隠れている小さなビーチの存在だったり、すごく美しい夕日の見える絶景ポイントだったり、もちろん食いしん坊の彼らしく地元の美味しいものやレストランのことだったり。ジエットのおかげで、私たちもサルデーニャに存在する小さな宝物に気づかされることが沢山あります。

ドルガーリの風景

ドルガーリの風景

ジエットとの初めての出会いは、忘れもしない私たちがカンティーナ・ドルガーリでワインの試飲をしている時でした。そこにたまたま立ち寄ったジエットが、昼休みにうちにアペリティフに来ない?と誘ってくれたのがきっかけで、この時以来すっかり意気投合し、その後も長く深い付き合いが続いています。

ジエットとマノロ

ジエットとマノロ

そして、ここドルガーリでの私たちの定宿は彼の経営するB&B。ここもドルガーリでは絶対に外せない場所になっていて、ここではジエットのおもてなしのすべてが素晴らしさが体験できます。詳細は話し始めたらキリがないのでまた次回にしますが一部だけ(笑)。

ジエットの宿の窓から見える風景

ジエットの宿の窓から見える風景

まずは宿の朝食が本当に美味しく、ドルガーリがキュッと詰まったような素晴らしさです!毎朝出来立てのまだ温かいリコッターチーズ、それにドルガーリの蜂蜜。出焼きたての地元のパンやお菓子に手作りのジャム、とれたてのフルーツやヤギのミルクのヨーグルト、ドルガーリのハムやチーズなどなど、、、(あ〜、今書いていてもよだれが、、、すみません。)

出来たてのリコッタチーズ

ジエットの朝食、出来たてのリコッタチーズ

朝食の一部

朝食の一部

そして夕方になるとジエットの小さなカンティーナで彼の手作りのカンノナウワインと地元のチーズやサラミなどが振舞われ、楽しく話をしながらアペリティフが始まるのですが、彼のワインと地元のサラミやチーズの美味しいこと!そこに面白い地元の人物が登場したりと、ここではとにかく忘れることのできない楽しい時間が約束されているのです。

ジエットのアペリティフ

ジエットのアペリティフ

ジエットのカンノナウワイン

ジエットの手作りのカンノナウワインで乾杯

おつまみを用意するジエット

アペリティフを用意するジエット

そしてこの村で、忘れちゃいけない大切な存在の一人がロレンツォです。

彼はいつも静かで控えめで、みんなの中で優しく微笑んでいるのが印象的です。そんな物静かな彼は実は陶芸の巨匠で、いつも工房にこもってたくさんの素晴らしい作品を生み出しています。私たちも彼の作品が大好きで、工房とお店を訪ねるのをいつも楽しみにしているのですが、彼の陶芸への情熱と技術は計り知れないものがあり、いつも忙しく仕事をしながら、新しい陶芸の技術を磨いています。話を聞くと彼の家族は陶芸家やナイフ職人がいっぱいいる、職人気質のファミリーだということ。ロレンツォも芸術家ぶるところは全くなく、コツコツと工房にこもって陶芸を作ることに没頭するのが何よりの生きがいのようです。

ロレンツォと一緒に

ロレンツォの工房で

ロレンツォのユニークな作品たち

こんな風にいたるところに、それぞれにこだわりを持った素敵な人たちが住んでいるドルガーリは、人もワインもオリーブオイルも、どれを取っても職人気質なのではと感じます。

この村の歴史と伝統のあるカンノナウワインやオリーブオイルのこともいつかまたお話ししますね。

 

緊急事態宣言などもまだ続きそうですが、引き続き気をつけてお過ごし下さい。

 

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Letters from the Cellar #7


Dorgali, land of artisans. We couldn’t agree more. It’s a place very close to our heart as we have felt at home since we visited it for the first time over 10 years ago.

It has been a long story of friendship that only recently culminated with two important collaborations for Taru Lab: one with Olearia Dorgalese, the local cooperative which produces an excellent extra virgin olive oil, and Cantina Sociale di Dorgali, one of Sardinia’s leading hubs for wine production in the land of Cannonau.

But…there is so much more to Dorgali: its people, its hospitality, its culture, its stunning landscape and gifted geographic location, its crafts and its outstanding local produce. Dorgali is one of the unmissable destination during our trips back home. Great days made of rivers of wine, endless dinners with friends and the constant discovery of an area than never fails to surprise us.

The list of friends we have to thank for making our experience so precious is quite long, but surely include Donatella from Cantina Sociale di Dorgali and her family, the legendary Zietto, with his accommodation and epic aperitifs and breakfasts, and the master of crafts Lorenzo.

It would take a while to explain how they all have had part in shaping Taru Lab and its strong ties to Dorgali. Let’s try being brief…

Donatella was the person who, without any doubt, inpired the first idea of setting up our import business in Japan. It took few years to put all bits and pieces together and numerous trips back to Sardinia, but we are thrilled to be working with Cantina Sociale di Dorgali and presenting their two top wines, Hortos and D53, to Japan.Donatella never stopped believing in the potential of this collaboration. Neither did we. Thank you, Donatella! The tale of Cannonau and the Cantina is for another time, though...

Zietto, his nickname meaning “Little Uncle”, as Antonio is known around the village, has an impressive knowledge of Dorgali and its surroundings, its history and culture. Zietto is one of those people who makes you realize that sometimes we take everything that surround us for granted, instead of admiring what nature gifted us with. Thanks to Zietto we got to know hidden gems of Sardinia, such as small beaches nested against mountain backdrop, panorama points to enjoy stunning sunsets, and of course, as lovers of delicious food as we are, great places to eat local specialties. Since our first meeting, which ended up with Zietto inviting us at his place shortly after getting to know us, a great friendship was born. His Bed and Breakfast “Da Zietto” is an unmissable stop while we are in Sardinia. His breakfasts with local produce (Fresh Ricotta!), and aperitives with his homemade Cannonau are unforgettable experiences.

And how about Lorenzo, the always smiling master of ceramics? His talent, passion and constant research to improve are second only to his solar and cheerful character. It is a true pleasure seeing him in action while molding his crafts.

Ok, maybe we are losing a bit of focus here and getting carried away by memories. More stories about Dorgali will certainly follow. Stay tuned!

Yours sincerely,

 

Letter #06 ヴェルメンティーノの祭典とインコントゥル

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こんにちは。

イタリア人と日本人の夫婦で、小樽で小さなクラフトワインショップを営んでいます。 

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コロナ禍ですっかりイタリアや海外が遠く感じるのがちょっと寂しいこの頃ですね。

でも、こんな時だからこそ、楽しいイタリアの話題で気分を上げていきましょう!

サルデーニャ島唯一のDOCGヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ

サルデーニャ島唯一のDOCG

今日はイタリア・サルデーニャ島で唯一のDOCG指定を受けている、ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラで開催されるヴェルメンティーノの祭典、「ようこそベルメンティーノ!」そしてここで出会った素晴らしいヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラDOCG ワイン、Incontru(インコントゥル)についてのエピソードです。

 

ようこそヴェルメンティーノ

ようこそヴェルメンティーノ!

ここ数年、ヴェルメンティーノの名は日本でもずいぶん知られてきましたが、ヴェルメンティーノはサルデーニャ島では最もよく飲まれている白ワインのブドウ品種です。この品種はサルデーニャ島全土で栽培されていますが、その土地の風土や土壌の違いが表れやすく、もちろん生産者のワインの作り方でも色々な表情を持つとても興味深い品種でもあります。Taru Labでもサルデーニャ島のヴェルメンティーノワインを各種色々と輸入していますが、どれも個性的で甲乙つけがたい良さがあり、私たちも大好きな品種の一つです。

 

イタリア、サルデーニャ島のヴェルメンティーノワイン

地中海の潮風のようなサルデーニャ島のヴェルメンティーノワイン

そのヴェルメンティーノワインの中でも、サルデーニャのガッルーラ地方は島で唯一のDOCGエリアで、昔から質の高いヴェルメンティーノグレープの栽培とワイン造りで知られています。この地域の丘陵地帯で栽培されるベルメンティーノグレープは地中海の潮風の影響を受け、土壌に混在する花崗岩土壌のミネラルを豊富に含んでいるため、出来上がったワインは、フルーティーでミネラル豊かな香りに程よい酸味がありちょっぴり塩っぽい味わいも感じる、まるでサルデーニャの海のような風味と味わいが特徴の爽やかでとてもサルデーニャらしさがあります。

 

オルビアの町の中のTaru Lab(樽ラボ)の二人

ようこそヴェルメンティーノ、試飲会のセッティング

オルビアの街の中と試飲会場のセッテイィング

サルデーニャ島東北部の海岸沿い、ガッルーラ地方の中心都市オルビアの市街地では、この地方を代表するベルメンティーノを盛り上げプロモーションをするために、毎年ようこそヴェルメンティーノ!という大規模なヴェルメンティーノの祭典が開催され、イタリア国内や海外からもたくさんの人が訪れます。

このイベントは数日間にわたり、ソムリエを呼んでのプロのためのヴェルメンティーノワイン大試飲会や、ワイン業界のプロフェッショナルによるワインやマーケティングなどのセミナーなどの真面目なプログラムも盛りだくさんあります。

 

Benvenuto Vermentino Olbia おしゃれなポスター

Benvenuto Vermentino Olbia セミナー会場

ヴェルメンティーノワインのセミナー会場。ポスターもおしゃれ!

オルビアの街の中ではワインの試飲ができるスタンドがあちこちに並び、各レストランではヴェルメンティーノワインに合わせたマッチングメニューが楽しめたり、夜はショッピングをしながらお店の中でワインが試飲できたり、バンド演奏があったりと、町中が創意工夫を凝らし、ヴェルメンティーノのお祭りで一色になる、ワイン好きにはたまらない楽しい催しです。

 

Taru Labとサルデーニャの民族衣装

私たちもサルデーニャの民族衣装で(笑)。
サルデーニャ島のデザート、セアダス
サルデーニャ島のデザート、フレゴラ
イベント中のレストランでの特別メニュー、セアダスとパスタ。

Taru Labでのお馴染み、我らがアルバ&スパネッダのヴェルメンティーノワインがこの「ようこそベルメンティーノ!」のプロフェッショナル試飲会のワインリストに入っていることもあり、私たち樽ラボの二人も2018年、2019年と2年連続でアルバ&スパネッダのセバスチャーノとトニーのと一緒に、光栄にもこの試飲会に招待してもらいました。

 

ベルメンティーノワインの試飲会場の様子

ベルメンティーノワインの試飲会場の様子

その大試飲会では毎年、メインはサルデーニャ中から選ばれたヴェルメンティーノワインが並び、それに加え、イタリアからはリグーリアトスカーナ南アフリカ、フランスなどのヴェルメンティーノワインも招待されます。

こんな一度にヴェルメンティーノワインを試飲できる機会はないというくらいのものすごいワインの数で、そこにイタリアソムリエ協会のソムリエの先生たちが一つ一つライブで試飲をしながら解説してくれるという豪華さで、イタリアのワイン文化の深さと威厳を感じる素晴らしい試飲会です。

ちなみに2018年は44種類、2019年は28種類のヴェルメンティーノワインが試飲できました!

 

ようこそヴェルメンティーノ、ソムリエとTarulabの二人

お店の中でソムリエのフランコさんと一緒に

その数あるヴェルメンティーノを試飲しながら、ソムリエの方の解釈も参考にしながら自分なりのワインの知識を広げていける良い機会でもあるのですが、2019年の試飲会では素晴らしいワインとの出会いもありました!

たくさんのワインの試飲の中で、Taru Labの二人がどちらもこれは!と思った印象に残るヴェルメンティーノディガッルーラDOCGワインがあったのですが、その生産者とワイン名を見てみると、私たちが以前どこかで飲んだことがあり、前からずっと気になっていたIncontru(インコントゥル)というヴェルメンティーノワインということが判明。

そこで、早速この生産者は誰なのか?と周りのみんなに聞いてみたところ、たまたま私たちのサルデーニャの生産者たちとも友達だということがわかり、しかも、みんな口を揃えて、すごくいい奴だよ!とのお墨付きまでもらいました。そこで、早速生産者のアルド・アイーニさんを紹介してもらうことに。

 

TarulabのManoloとTenute Aini Vini のAldoさん

ノロとテヌテアイーニヴィーニのアルドさん

 

テヌテ・アイーニ・ヴィーニブドウ畑

テヌテ・アイーニ・ヴィーニとTaru LabのAsako

テヌテ・アイーニ・ヴィーニの美しいブドウ畑とワイナリー

縁のある時は物事がトントン拍子で進むもので、アルドさんを紹介してもらってすぐに約束を取り付け、オルビアのイベント参加後から数日後に再びオルビアに舞い戻り、そこから少し離れたヴェルキッダという村にある彼のワイナリーにも招いてもらうことになりました。手入れの行き届いた自然に囲まれた美しいブドウ畑では、再び彼のヴェルメンティーノディガッルーラDOCGワインと共に、同じインコントゥルという名前のこれまた素晴らしい赤ワインも飲ませてもらいながら、アルドさんのブドウ栽培からワイン作りの話を聞かせてもらうことができました。

 

インコントゥル Tenute Aini Vini Incontru Vermentino di Gallura Superiore DOCG 2019

Incontru(インコントゥル) ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ スペリオール DOCG

Tenute Aini Vini ヴェルキッダ村の自然の中に広がるワイナリー

サルデーニャ、ヴェルキッダ村の自然の中に広がるワイナリー

話に聞いていた通り、生産者のアルドさんは、とても真剣にワイン作りに取り組みながらも、気さくでお茶目な性格で、私たちも初めてあった時からすぐに意気投合。日本への輸入の話もあっという間にまとまったのでした。

 

Tenute Aini Viniのオーナーのアルド・アイーニさん

気さくでお茶目なオーナーのアルド・アイーニさん

テヌテ・アイーニ・ヴィーニのワイナリーのブドウ畑を見渡せる庭には"Le cose belle nascono da un Incontru" 良いうアルドさんの手書きの木でできた看板があり、美しいことは全て出会いから始まると意味でアルドさんの大好きな言葉だそうです。

Incontruというワインの名前はこの素敵な言葉からつけられたとのことで、ワインを通して人々が出会い、美味しいものと出会い、美しいことがつながっていくようにとのアルドさんの願いが込められています。

 

Incontru=インコントゥル、美しいことは出会いから始まる! 

Incontru 美しいことは出会いから始まる!

この話を聞きながら、今回の私たちの「ようこそベルメンティーノ!」イベントでの出会いもアルドさんとのIncontruの始まりだったのかなぁと感激してしまいました!

Taru Lab Wine Shopでもアルドさんとの出会いやIncontru(インコントゥル)のエピソードをお伝えすると、どの方もとても興味深く感じていただけるのですが、私たち自身も、この素晴らしい出会いがあったことで、今このインコントゥルワインが日本で飲めることがとても幸せに感じています。

 

Tenute Aini Vini のブドウ畑

最後にもう一枚、アルドさんのブドウ畑の風景を!

そのうちテヌテ・アイーニ・ヴィーニのワイナリーとその村ヴェルキッダのお話も詳しく触れてみたいと思っていますが、今日はこの辺で。

 

みなさんもIncontru(インコントゥル)を飲みながら、サルデーニャの青い海を思い浮かべてみてはいかがでしょうか?。

緊急事態宣言、蔓延防止措置対策など全国で発令中ですが皆様気をつけておすごしください。

 

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こんな時ですが、お家でワインでイタリア気分を楽しんでいただけたら嬉しいです!

 

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Letters from the Cellar #6

 

So it goes Golden Week and new COVID restrictions are underway. Not exactly what we hoped for, with all travel limitations and closed business across Japan, but we hope you are all well and safe.

With spring slowly showing up even here in the north, and days getting longer and warmer, it’s time to taste some chilled white wine.

Our choice this time is for a beautiful glass of Vermentino di Gallura Superiore DOCG 2019 by Tenute Aini from Berchidda, in Sardinia’s Gallura wine region.

Every time we sip this wine we always remember how we discovered it and we fell in love with it.
Invited by our friends Bastiano and Tonino from Cantina Alba e Spanedda, in 2018 and 2019 we joined a professional tasting run by a panel from the Italian Sommellier Association at Benvenuto Vermentino. This is an event held every year in Olbia to showcase one of the most quintessential grapes of Sardinia.
This great gathering was also an opportunity to compare Sardinia’s most drunk white wine with different Vermentino produced in other Italian regions (namely Liguria and Toscana) as well as from abroad, Provence and Corsica in France and South Africa.

Incontru Vermentino di Gallura Superiore DOCG stood out as one of our favourite wines after attending both 2018 and 2019 editions of Benvenuto Vermentino, where we tasted 44 and 28 different wines respectively.
Following the end of 2019 edition we then travelled to Berchidda to meet Aldo, one of the owners of Tenute Aini, to start our collaboration and introduce his wines to Japan.
Berchidda is an area where Vermentino is at its best thanks to number of key factors: the granite soil, warm and sunny climate and constant sea breezes make great conditions for this grape to espress its full potential.

Tenute Aini was founded in 2013 and its roots are deep in Gallura. Over the hills near Berchidda, Vermentino as well as Cabernet Sauvignon, Merlot and Sangiovese are grown over 12 hectares.

More about Tenute Aini to come over the next few months.

Stay safe during these challenging times.

Yours sincerely,

Taru Lab